YurikoOyama

ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男のYurikoOyamaのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

鑑賞直後よりも、少し後からじわじわ良さが来ている。

派手さはないドキュメンタリーと感じたけれど、ドリスの発する中に名言がぽろぽろあって、メモを取りたい、早くしないと忘れてしまう、て思いながらみていた。
ガラスをちりばめてハイ美しいですよってのは存在しなくて、作品にこめられた想いや情熱が人に伝わったときに、観た人に美しいと思わせられる、みたいな言葉が一番響いた。そこが、ドリスが「ファッション」という一過性のもの・半年で移り変わるものを指す言葉が嫌いなことと繋がるのだろう。そこにはキャッチーな煌びやかさはあるけれど、想いや情熱は足りないのかもしれない。
商業的でいなければメゾンをクローズしなければいけないのはドリスもわかっていて、そことのバランスをとりながら作品を発表しているんだなということもわかった。お客様の評価もやっぱり反映していると思う。

仕事でも遊びでも時間割を作って全力で取り組むという話も印象的。見るもの全てがインスピレーションで、キュレーターさんが話していた「ドリスは階層意識を持たない。途上国の文化であれ、素材のチープさであれ、全て同列に考えてインスピレーションにする」というのもすごいと思った。だから異素材や違う柄の組み合わせを用いたコレクションが多いのだなぁ。

派手な人生ではなくて淡々と計画的にコツコツと積み上げていくようなクリエイション人生を感じたけれど、それこそが大切なのだと思わせてくれます。もちろんそれだけでなく、プライベートの時間の大切さも感じました。

個人的に本人が最後に登場するときの手の振りがかわいらしくて好きです笑

あと、床にたくさんの布をおいて選んでいくところ、100を50に絞る(数忘れました)方法、モデルに布を当てて吟味していくところ、参考になる。

野菜を収穫したり庭でとった花を生けたりすることも、すてきだからやらなきゃとかやろうとしてやっていない、彼にとってそれはとても自然な作業に感じた。

ドリスはクラシカルさを持ったリラックスできる服をテーマに掲げているのですね。
確か途中で日々着られないからこれはだめみたいなシーンもあったような。
ショーでしか見られないような観賞用としての服も好きだけど、やはり着られてこその服。私はドリスの考え方に賛成です。
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