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女ともだちのotomisanのレビュー・感想・評価

女ともだち(1983年製作の映画)
4.2
 三十年来の付き合いの恐らく後見役で親子同様であったろうマドレーヌに聞かされたに違いない両親の話の果てがこの52年から2年ほどの物語につながるのだろう。ただ、日も暮れた海辺のテラスの両親のあの最後の不穏げなありさまにマドレーヌの誘いを断っても目を離す事は出来なかったろう。
 それにもかかわらず母は姿を消し、父を語る言葉もなくマドレーヌもまた亡くなったとばかり告げて、もう憚る相手もいなくなったのだろうか?またマドレーヌのきっと最期の物語の母レナとふたりのことも偽りなしと信じたのか。
 受けとめるほかあるまい。しかし、マドレーヌの両親も父ミシェルも誰も、レナとマドレーヌのただならぬ事に我々が目にする以上のことと感じていたのは違いあるまい。
 あの夕ののち娘フロランスが語らない「女ともだち同士」とその後のマドレーヌにフロランスは親しみを覚えるのか、好きだった父と家庭を壊した元凶と感じたか問うのは事を踏み外すところであるけれど、あれからの長い三十年とマドレーヌ亡き二年ののちこの話を世に出すのにフロランスにとっては避けられない判断であったと感じられてならない。
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