れじみ

夜の大捜査線のれじみのレビュー・感想・評価

夜の大捜査線(1967年製作の映画)
3.7
田舎町で起きた殺人事件を捜査する黒人刑事の視点を通して、人種差別の現実、そして白人と黒人の二項対立という単純な図式を超えた多層な社会構造が顕在化する。

物語が進むにつれて、主人公に対して非常に差別的な言動を浴びせていた署長の印象が変わっていくのだが、人間の多面性を強く感じさせる描写だった。

映像表現として白眉だったのは綿花畑の中をパトカーが走り抜けるシーン。主人公が白人署長の送迎で綿花を摘む黒人たちの中を通り抜けるこのシーンには、人種差別撤廃への道のりの険しさがよく表れている。

それにしても「夜の熱気の中で」という原題を「夜の大捜査線」とするのは些か無理があるのでは。
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