あでゆ

カメラを止めるな!のあでゆのネタバレレビュー・内容・結末

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

人里離れた山の中で、自主映画の撮影クルーがゾンビ映画の撮影を行っている。リアリティーを求める監督の要求はエスカレートし、なかなかOKの声はかからず、テイク数は42を数えていた。その時、彼らは本物のゾンビの襲撃を受け、大興奮した監督がカメラを回し続ける一方、撮影クルーは次々とゾンビ化していく。

驚き、笑い、感動と多くの感情が詰め込まれた作品。
初見時、何も情報を入れていなかったため、見始めは「あーなるほどワンカットでゾンビ映画ね。すごいなー『MGSV』ぽい」と観ていた。ただ映像や音響の質や正直あまりにも低く、気になる点がだんだん増えていく。
キャラの会話もたぶん空気かみ合わない的なことやりたいんだろうけどうまく言ってねえなとか思ったり、なんか後ろに変なやつ座ってんぞとか思ったり、あとチラチラカメラみてんのも気になった。

流石にこれカメラマンが実際にいて、メタ演出が入るんだろうとは思っていたので、中盤で監督がこちらに話しかけてきたりするのはネタ振りだろうとか思ってたんだけど、明らかに途中からカメラワークの質が落ちたり、最後のクレーンもプルプルしていたのでどういうことかと。

そしたら第二幕の開始である。
第二幕は素直に感動してしまったし、このあとどうなるということがわかっていて、先の予想がなんとなくつくこともあって、応援しながらみてしまう。そしてコメディ演出も無理がないため、素直に笑うことができた。
またゾンビっていう背景も、一度死んだ人間が復活して立ち上がる物語としてわかりやすいメタファーになってるなと。

加えて、第一幕から第三幕への伏線張りのみならず、第二幕から第三幕への更に自然な伏線張りがとても優秀で、セリフ一つ一つや、キャストの癖などがダイレクトに物語に関わってきたり、ラストで台本の裏表紙に写真を貼っているという一枚だけで感動させる展開なんか上手い!としか言わざるを得ない。

ラストでの実際の撮影シーンはよっぽど苦労して撮られたということがわかるし、実際にスタッフが転ぶシーンを見て、「あーここでころんだからストーリーでも転ぶことにしたのね」とかいう物語が更に見えてきて泣けてくる。更に、本当のラストではクレーンどころかドローンで上から景色を映し出す演出が入り、この物語に関わる人たちの力強さを更に実感する。

ただ本当にアイデア一発の映画なので(それを支える俳優の演技力は凄まじいけど)、合わない人は合わないかも。ただそれを確かめるためにもネタバレ踏む前に一度は観る価値がある。

劇場の一体感がすごくて、おそらく初見ではない人が多くいるにもかかわらず一周目はとても静かで、二週目以降は堰を切ったように笑い声が止まなかった。こういう観客の反応がダイレクトに伝わる映画は『ドント・ブリーズ』とかも印象的だったけど劇場で見る価値が大いにあると思う。
あでゆ

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