男女の心理的な駆け引きと一流であるからこその閉鎖的な仕事、個(家族)と社会、いずれも半端で映画に勢いがつかない。ダニエル・デイ=ルイスでもレスリー・マンヴィルでも、どちらでも良いからもっと狂わないと。変に格好つけてないで『危険な情事』ぐらいやってほしい。この男女の歪な関係の底にあるのは間違いなく階級差別の問題があるはずだが、その辺りはほとんど描かれず(ゲームのくだりで軽く)。映画(二人)をかき回すはずの「姉」の強面なキャラクターが徐々に薄れてしまうのも、がっかり。こんなことを書いてもどうしようもないが、PTA映画におけるフィリップ・シーモア・ホフマンの不在は取り返しのつかないほど大きいと改めて思った(前作でも感じましたが)。