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ファントム・スレッドのmariiのレビュー・感想・評価

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)
3.7
ヒッチコックの「レベッカ」を思い出した。過去の亡霊。見えないものに縛られる恐怖。東宝ミュージカルのレベッカで付き人をしていたことを思い出した。毎日その叫びの声を聴いていた。ファントム・スレッドも美しいドレスの世界だが、過去の愛と現実の愛の中で揺れ、決して綺麗だけでない相手とぶつかっていく。それを受け入れ、逃げず乗り越えていくと云うことが愛なのだろうか。自分の恋愛と比較、共通点を見付けてしまうことが何度かあった。仕事ばかりに縛られること、毎日愛されること、満たされない相手を選ぶということ、道具になること。人間の甘く見られたくないという、反抗心。交わらない二人の行方。結婚の恐怖、後悔。一瞬のシーンの想いが淋しさと皮肉と冷めた視点で、描かれ、心の中は、間違った情熱で、交差し合う。我儘。自己主張は想いだけでは伝わらず、相手をコントロールしたい。相手よりも自分が好き、なのか。
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