このレビューはネタバレを含みます
グリーンウッドの音楽は相変わらず美しい。これまでと少しテイストも違うのだが、レイノルズが気にしてやまない生活音、雑音とのコントラストも絶妙。ダニエル・デイ・ルイスの立ち振る舞い、身のこなし方も最高。
この映画にまつわる、ある1つの論争、それは男性/女性の視線(まなざし)によるものだが、私は恐らく前者で鑑賞していた。しかし、レイノルズはあくまで、どこまでも「アーティスト」(ダニエル・デイ・ルイスが演じているという点でも)なので、エゴと完璧主義が根底にあり、それは一般人が容易に共感できるものではない。ただしかし、やはりどうしても、レイノルズのように傲慢であるのと同時に、最後は弱く守られていたぶられて、子どもに還っていきたいとも思ってしまうので、困ったもんだ、と終始苦笑い。
クライマックス、アルマにレイノルズが屈するシーンは吹き出して笑ってしまったのだが、直後エンドロールで流れる献文で、思わずほろっと落涙したわたしは、きっと、この可笑しくて情けない恋愛を、どこか羨ましく思っていたらしい。
EBISU GARDEN CINEMA