TaiRa

ドント・ウォーリーのTaiRaのレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
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凄い変な編集というか構成というか。人生の色んな場面に飛びまくって回想の中の回想とかやってて混沌として行く。

事故で身体が麻痺した車椅子生活のアル中漫画家の人生。ロビン・ウィリアムズが企画してたというのもなるほどな笑いと悲しみの同居した人物。ホアキンになった事でより人間的脆さにフォーカスした感じ。車椅子で颯爽と走る姿が良い。禁断症状出ちゃうから酒買いに行く姿だったりするんだけど。禁酒会の主催やってるアル中でゲイのジョナ・ヒルがまぁ色っぽい。悲哀が艶になってる。終盤ではほぼ聖母みたい。彼はオリジナルな宗教的アプローチで心理療法やってるけど、基本見た目も存在感もキリストだね。迷える子羊じゃなくて迷える「子豚」を集めてる。実在の人物の伝記なんだけど出て来る人の実在感が凄く曖昧というか、観念的。事故を起こす張本人のジャック・ブラックは誘惑者としての悪魔だし、主人公の恋人として出て来るルーニー・マーラも完全に天使。彼らの登場シーンがどちらもスーッと主人公に向かって歩いて来るのが印象的。主人公にしか見えてないんじゃないかって気にさせる。もちろん他の場面では実体を持った人として描写されるけど。あの世の存在である体操選手たちや母親の幻視など、虚実が渾然一体となってる。混沌の中から這い出し進化する過程を障害や病気の克服と重ねながら神性を持って描くという映画。車椅子ごとコケる姿、恋人の乗った車を追いかけて見送る姿、初めて電動車椅子に乗った瞬間の感動と走り出す幸福感、そういう瞬間が魅力的。

ルーニー・マーラの髪型見て『ローズマリーの赤ちゃん』のミア・ファローだ、って思った2秒後の台詞に『ローズマリーの赤ちゃん』って出て来た。
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