加藤幸治

ドント・ウォーリーの加藤幸治のレビュー・感想・評価

ドント・ウォーリー(2018年製作の映画)
4.0
アルコール依存性から脱却しようとする、飲酒運転事故で肢体不自由となった主人公が、やがて風刺画を自己表現として社会への痛烈な批判をしながら「社会復帰」していくという物語。
最近WOWOWで見た『スリー・ビルボード』にも似ていて、登場人物がそれぞれ身勝手だったり偏見持ちだったりキレやすかったり、要するにみんなクズなんだけど、そうした人々を直視して許していくといったまなざしが、最終的に人間賛歌となっているという、実は緻密に作られた映画。ある人生を生きたような心持ちで映画館を出られる、なかなかの作品。
劇中で唯一の”善い人”である恋人アヌー、演じたルーニー・マーラという女優さんはあの『ドラゴンタトゥーの女』の凄まじい表現とは真逆のステキな役どころで、ポイントになってる。監督ガス・ヴァン・サントは、本作の舞台のポートランド在住だそうで、こうした隣人愛を撮れるのはやはり生活者の視点から描いたからなのかと腑に落ちる。
加藤幸治

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