【お茶が映した自分】
今更ながら、鑑賞しました。
これほど、心が清らかになり、自然と笑みがこぼれた作品は無い。
樹木希林さんの晩年の作品は、どれも安定した演技の作品が多くて安心した。
「万引き家族」からの印象からうって変わって、[上品で清らかな役]に徹している。そして、黒木華と多部未華子。この二人が共演する姿が見れるなんて、思いもしなかった。
「光」の作品の印象からまたこれ変わって、[茶]をテーマに描いた変幻自在の大森監督にも拍手を送りたい。
さて、どうゆう作品なのかと言うと、「茶」がもちろんテーマの作品ではあるのだが、黒木華演じる[典子]が"茶"を通じて、自分が存在している意味や、何を糧に生きていけばいいのかという、彼女の[精神面の成長]を描いているのだ。
「お茶が自分に何を映してくれるのか?」
「周りからどんどん先を越されそう」という成人して間もない女性の、成長家庭での悩みを、茶道の先生である樹木さん演じる[武田さん]と共に、[嗜み]を通じて乗り越えていく物語なのである。
日本の[和の嗜みの力]を見せながらも、一人の若い女性の成長の物語を描いている、優しい作品なのだ。観ているこちらも清らかになるし、これを通じて「茶道を始めたい!」と思う方もいるだろう。
習得するには時間がかかるし、大変な道であろう。
だがそうゆう大変さも、人を成長させたり、人を勇気づかせる[原動力]になる。
まったくもって、素晴らしい物であり、素晴らしい伝統ではないか。
典子が清らかになるように、私も清らかになると同時に、勇気づけられました…。