建野友保

レイニーデイ・イン・ニューヨークの建野友保のレビュー・感想・評価

4.1
ウディ・アレンの映画は評判を聞きつけて1977年の「アニー・ホール」以降、リアルタイムで5本くらい観たと思いますが、ダイアン・キートンには魅せられたものの、どれも性に合わない映画でした。いかにもインテリ風を効かせた台詞の妙、会話の情報量の多さに辟易したのと、日本人には分かりにくい台詞のおかしさに鋭く反応する一部の観客がいつもいて(今日も1人いましたが)置いてけぼりを食らうような感覚もありました。
今作は雨の日のニューヨークを舞台としたドタバタコメディ風ではありましたが、登場してくるキャラクターがどれもキレキレに面白く、ティモシー・シャラメ、エル・ファニングの多様な側面を引き出した功績は大きいと思います。そして雨降って地固まる、の意外な展開のラストへ。
ウディ・アレンの過去の経歴にさまざまな疑惑が浮上していることは気になりますし、ティモシーにウディを演じさせたこと、田舎者を小馬鹿にしたところなど引っかかる点はあるものの、よく練られた作品だと感じました。けっこうクスクス笑えるエンタメ作品です。
建野友保

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