素潜り旬

長江 愛の詩の素潜り旬のレビュー・感想・評価

長江 愛の詩(2016年製作の映画)
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話はいたってシンプルで、主人公の男の船は長江の上流へ向かい、女性はその先々で待ち受けるも、上流へ行けば行くほど若返っている。しかし、女性は男を追っているので記憶は男性と同じ軸にある。つまり女性は長江の流れそのもので、長江の流れは時間の流れである。それに反して男性が見てゆくのは、修行僧になれなかった女性が無垢な少女に戻っていく過程だった。

だからこそ名撮影監督リー・ピンビンのヤバさが際立つ。

天才は自然に勝つ場合もある。笑 雄大な自然を前にしても慄くことなく実際の長江より美しく撮り、現代の「リアルこそ全て」「俺の正しさの前では嘘は全て無効」というクソストリート精神を持つもの全員を黙らせることができる彼の画は唯々自信に満ち溢れている。あえて自信のないショボショボの詩と対比させることで、画面に映らない自然の強さ(長江の圧倒的強度)を観客に感じさせようとしているのかもしれない。笑
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