ずっと笑わないミシェル・ウィリアムズ。なにか捉えようのない苛立ちに日々苛まれているように見える。そんなときに怪我をした鳩の面倒を見るようになるが、平和の象徴としての鳩を大切にしているさまは、自分の生活>>続きを読む
森崎東『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ宣言』海のそばの汚い場所でひとが罵られこかされまくる謎の長回しから原田芳雄と倍賞美津子の強烈な寄りの顔芸が続き、宇崎竜童の音楽が鳴りだしたところで原田>>続きを読む
『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』と『ファイトクラブ』をチャンポンした実録風アメリカ映画で主役がトランプでセバスチャン・スタンがめっちゃ似てるだなんて、おもしろくないわけない(トランプに拒否反応が>>続きを読む
生脚の撮り方にとてつもないフェティッシュを感じる。タランティーノかよ、みたいな。監督のハリウッド志向がわるい面で出ている気がする、というのもあきらかに男性的な眼差しでとらえた女性の生活であって、それは>>続きを読む
石橋静河の動き、その説明できなさとカメラとの関係性。ロケーションの良さと表情。それぞれの結びつきのグラデーションがみせるその時々の化学反応が毎秒起きている。
過去と現在と未来は同時に存在していて、そこに夢までも加わってくる。息をするのがどの時間軸でもわたしはわたしである、そこにたしかに存在している、というのが同じ役者が演じることによってそのたしかさが担保さ>>続きを読む
雪国のポエジー。モノクロの映像と雪の町によって可視化される、誰もが誰かの役に立たないという諦観。つらいけれどそういうことなんだ、自然だけがそのまま、わたしたちをそのまま、そのままでいさせてくれる、役立>>続きを読む
20240620初見時のメモ。
何度も反復される「規則」という台詞は、狩り、狩られる関係に結局のところ収束する。その過程においてゲームは情事であるという、普遍的なことを偶然を通して描かれているから、>>続きを読む
ジャン・ルノワールが車を降りてスタジオへ向かう。着いたらたくさんのスタッフがいて、ジャン・ルノワールが座り、喋り始める。それが『コルドリエ博士の遺言』の冒頭となり、ぬるっとはじまる。この「ぬるっと」が>>続きを読む
家屋のなかを平行移動する冒頭や、登場人物が動線を綺麗に動く縦の構図に惚れ惚れする。その構図にはさらに枠があり「開かれた窓」(マティス)のような効果もうみだす、もしくは逆に覗き見るふうになっていたり。>>続きを読む
コーヒー中毒の男の異常さがわかりやすく提示されるオープニングによって、この男はコーヒーのためならなんでもするなとまず思わせる。そこから届いたばかりの車で飲むようのコーヒーグッズを設置し、どうやって使う>>続きを読む
ゲームセンターに併設されたアメリカンダイナーでワッフルチキンをiPhoneで注文する。店員さんに映画の半券で200円引きの特典を使いたいがどうすればいいのかを聞く。「こちらでやりますので」そうですかは>>続きを読む
五年ぶりに再見(観たことはすっかり忘れていた)。即興演出による脚本なしの物語にしてはよくできている。これを日本でやればまあまあ無茶苦茶でしょ。いいかんじになったのは、あの時代のアメリカであの主題を持ち>>続きを読む
元気になったからさっき今年初の映画館に行ってきた!濱口竜介監督『何食わぬ顔』を観に!千葉雅也さんの音楽が流れるタイミングがおもしろくて、最初なんで急にこのタイミングで流れるんだろうと思っていたら、劇中>>続きを読む
顔から顔へ、移行する。いまなら『オッペンハイマー』なんかで良い効果を生んでいるけれど、これは効果とかではないよね、顔を捉えるというアイデア勝負みたいなところがある。でもそれに拘りすぎないのがよくて、ラ>>続きを読む
登場人物が無軌道であるということをジョン・カサヴェテスがやるとどこからが脚本に沿われたものでどこからが即興なのかという問いがあり、結局はほとんどテキストに書かれたものであるというのが本当なのだろうけれ>>続きを読む
録画していた濱口竜介『不気味なものの肌に触れる』で映画初め。そして観た数時間後に胃腸炎でダウン。胃腸炎になるということは不気味なものが肌に触れることなく全部でることだと思った、というか運良く肌に触れる>>続きを読む
シネ・ヌーヴォで濱口竜介監督と出演者のQ&A付きでついに『ハッピーアワー』を観た。DVDも持っているのに観る機会を逃し続けてきた映画。どうせなら劇場で観たい。それも毎年やっている年末上映で。と思い続け>>続きを読む
映画内で提示される「情」と呼ばれる国民性を、チチという存在の感情の動きとショットと照明やグレーティングによってなんとなくあたりをつけていくその受け手側の作業が『牯嶺街少年殺人事件』や『恐怖分子』とはま>>続きを読む
佐野「お一人ですか?」
凪「はい。本当は友達と一緒に旅行して Zine 作ろうって。Zine てわかります? 写真とか、文章とかイラストとかの冊子」
佐野「うんなんとなく」
凪「だったんですけど>>続きを読む
『アイ・ライク・ムービーズ』は批評家でありジャーナリストでもある女性の監督がひっどいシネフィル男性の青年期ともいえる姿を基本的なトーンとしては愛くるしく描いているけれど、映画業界の闇に触れるシーンで転>>続きを読む
劇場で観ていたら、まっすぐ帰らずに喫茶店寄ってとりあえず一息つきたいやつだった。このコロンボ(古畑)的倒叙を法廷劇でやってそれでいてしっかりイーストウッドな脚本書いたジョナサン・エイブラムスってひと凄>>続きを読む
京都文化博物館フィルムシアターで観た成瀬巳喜男『鶴八鶴次郎』を観て、あまりの良さにzineの原稿が一気に書けた。長谷川一夫にまつわる詩からはじまるこの映画についてのこと。
三上博がおしゃれな家のなかで移動しながら煙草を吸い気絶するように眠るのをほぼワンショットでとらえたシーンに感動し、とよた真帆のすさまじい色気を超えるショーケンのすさまじすぎる色気に慄いていたらDVDが>>続きを読む
男は入念に手を洗う。石鹸をつけずに。全部がダメになっている。そのことに気づかない、いや気づかないようにしているように見える。すべてを洗い流す、そんなことはしないでいる。俺は、ここで俺はという時点で移入>>続きを読む
20220223
岡田将生の登場してから退場までの出来事すべてが劇中劇、ということはワークショップは劇中劇中劇。笑 そしてその先の劇は新たな劇中劇。そして岡田将生の登場までの家福が演じる劇中劇もあり>>続きを読む
父と子、兄と弟、そして特別であること。主題はわかりやすいし観ていて飽きないのだが、何かが足りないのは明確で、それはスパイダーマンなのだった。これはSSUシリーズすべてに共通することで、SSU専属のスパ>>続きを読む
これが森崎東のデビュー作なのか…信じられない。なにがというか全部がここにあるようにかんじる。ゲーテ詩集からはじまるすれちがい、文字通りのドタバタ劇、次々と登場人物たちの手に渡るゲーテ詩集、その朗読のな>>続きを読む
自伝的というよりはどこまでも個人的な(資料と照らし合わせてもそのような)映画で、脚本家自身が監督をしなければならなかった、捉われている、いやちゃんと捉えている、大事な妻との想い出を、ひとつ、またひとつ>>続きを読む
デジタルリマスターめちゃくちゃ綺麗で、それだけでだいぶんノイズが減る、気持ちよく観られる、スクリーンでもう一度観たい。葉山良二のデビュー作だけあって煌めいている。彼の凛々しさは中城ふみこの「薄幸」だな>>続きを読む
全員芝居はくさいが、それがこの作品のスタイルなのだと思えばどうでもよくなってくる。人を斬っても血は出ないが丹下左膳のトレードマークとなる隻眼と片腕になるときには血が出ていて、印象づけとしてはとても効果>>続きを読む
20240830
まず純粋に、すごい終わりかたするなあと思いました。いま、ここ!みたいなはじまり、終わりのはじまり、で終わる。『スリー・ビルボード』かよ!という時をかけるツッコミ。1930年代にこれ>>続きを読む
地元の先輩川端康成脚本だから贔屓するわけじゃないけど、展開の予測不可能性がもうマックスなんじゃないかと思う。
いくら名作だと言われようと子どもが被害に遭う映画はいやだ、観ていられない。
2020年12月10日
助監督に演出を任せて、道路の隅で煙草を吸っている黒沢清監督がめちゃくちゃ格好良かった。
2024年11月29日
黒沢清が言う「ダーティーハリーのクリント・イーストウッドなん>>続きを読む
ファッションが黒沢清で一番かも、これ。時代性とかじゃなくてこの映画に生きているから着られる。オダギリジョーの服が破れ続けていること。それはもうたぶんやぶれかぶれになってしまう彼の性格にもかかっているの>>続きを読む