抱擁のパターン、少ないカット数、印象的なカメラワーク、転換のためだけに流れる音楽…ミニマルな撮影のなかに感じる永続性はそのまま文化的な生活に収束する。馴染みの、良い役者たちとのポエティックで幸福な時間>>続きを読む
大好きなポール・メスカルがグラディエーターとして見られるだなんて…しかも彼は詩人と呼ばれていた。ウェルギリウスの詩の気高き暗誦。前作のすべてを引き受けて、いまとあの時を謳う肉体、怒りがポエジーのように>>続きを読む
会話をテンポよく切り返して去っていく人物をこっから撮るんだ、みたいなお手本のショットがめちゃくちゃあって、話が面白いだけじゃなくて何回観ても勉強になるであろう作品に若きホアキンの怪演があるんだから怖い>>続きを読む
これは観ておかなきゃだ。『十一人の賊軍』に求めていた戦までのチームになっていくかんじ、いわゆる団結ってやつを見せつけられた。ジョン・カサヴェテスやチャールズ・ブロンソンがあらためて好きになる。そういう>>続きを読む
人が静止する瞬間が多くあった。それは行分け詩のようで、ただ左から右へカメラは移動する。読めない。主人公ふたりの心みたい。そんなふうに思いながら生と死の淡いをぼーっと見る。それだけ、それだけだったので、>>続きを読む
まさかヴェノムに泣かされるとは…でもなんでコミックに良い原作がたくさんあり素晴らしいキャラたちがいるのに、モブエイリアンや軍隊との戦いがメインの脚本にしたのだろう。不思議。たぶんバディの関係性に焦点を>>続きを読む
久しぶりに映画を観て、自分を肯定された気がした。社会と対したときのそれぞれの生きづらさをひとまとめにするでもなく、ちゃんと個々のものとして描かれていた。誰かに悩みを話すと聴いてくれた人を傷つけてしまう>>続きを読む
ちょうど鎌倉へ行くから、絶対に観ておかないといけないと思い、観た。これを観ているのと観ていないのでは、鎌倉の観光の仕方が違うと思う。まず北鎌倉駅。『チボー家の人々』を話すふたりを想像する。そしてそのま>>続きを読む
出町座でトーク付き濱口竜介監督『うたうひと』観た。まず英語字幕ありがたい!方言が聞き取れなくても分かる!そしてカメラ位置よ!質疑応答で聞いたら濱口監督が、フィクションだと提示することで語り手を守ること>>続きを読む
#ドキュメンタリーオブベイビーわるきゅーれ あの怒涛のアクションのメイキングをじっくりと観られた。「池松壮亮頑張ってるなあ」が「池松壮亮大丈夫じゃなかったんだ」にちゃんと変わる。笑 全身が痛くて一睡も>>続きを読む
ヴィンセント・ギャロがちゃんと選んで映画に出ているというのが分かるくらい、ギャロにぴったりの役だよボビー・ビショップ、いやケビンは。アーティスティックな司会者だなんて!ナイーブなうえ、恋煩いが再燃する>>続きを読む
20200903に書いたものを20241018改稿
この映画の主役はジョーカーだけれど、どこにでもいる道化の物語である。人は皆道化であり、それは太宰治の言うところでもある。太宰はそれをひとりの人間と>>続きを読む
20240220
単純につまらないし、過剰にズラされることでシラケる。というより、何もかもが過剰。カフカ的なこと、フロイト的なこと、それらがやりたいにしても、彼らが別に過剰にやれと書いているわけではな>>続きを読む
前作よりだいぶん好きだった。恋の万能感で歌い出すなんて近田春夫の歌詞みたい。
「知らぬふりして二人の
やりとり聞けば 誰かのうわさ
俺は一人で タバコふかして
猫みたいな
あの娘思い出して飲んでいる>>続きを読む
それぞれ誰がなにを演じてもそれは支配の物語で、犬ですら当然その渦中にいる。それを観る観客が憐れみをおぼえるだけで当人は全然そんなことないみたいな顔をしているときもある。
そういうふうにひとを見ること>>続きを読む
学生の頃観た記憶があり、うっすらと覚えている箇所をなぞりながら、それはスリの手つきを繰り返すかのような、スリは練習を含めた習慣がすべてだから、その反復を眺めながら気づいたのは、俺はどうやら前回最後まで>>続きを読む
びっくりした。フランスの未来派じゃないか。家族をテーマに近未来てきな物質すべてに翻弄される人々。タチ演じる伯父さんすらも宇宙人のよう。ただ伯父さんと子どもだけ地に足がついているというか、翻弄されずただ>>続きを読む
印象的なオープニングとラスト。ストレンジラブ博士の描写も短い時間の出演でどういう人物かというのがよくわかるし、というか全員の人物描写が優れていて、タイトルに反してこんなにわかりやすい映画だったのかと思>>続きを読む
『ベイビーわるきゅーれ 』シリーズは映画二作も放送中のドラマも観ているけど、どうもノリ切れない部分があって、それをナイスデイズで池松壮亮が全部解消してくれた。彼がもたらした「顔」と「肉体」の芝居。本当>>続きを読む
銃撃戦で弾除けとなる壁からゴロンゴロンと落ちる破片というかごつい石が魅力的だった。ひとがいる横に落ちるし変に怖くもある。だいたいああいう壁って安心感があるけど、そういうのがない壁。
この映画を観てからというもの、背に文字の入ったデニムのジャケットやシャツを探してしまうのだけれど全然良いのがない。ヒッピー的なのじゃなくて、パンク的ではあるのだけれど、もう少しプリミティブなやつ。
前田敦子のプロモーションビデオとして最高の爆死。これが文字通りなんだから驚きです。ギター弾かないのに持っててそれはセブンスコードだからしょうがないっていうか劇中衣装で歌い出すビデオに突然変わるのだから>>続きを読む
俳優も撮影も演出も素晴らしいのに、なんで物語として微妙というかあんな脚本なんだろうと思っていたら、ちゃんとした脚本はなかったらしい。納得。ゲイがゲイであるがゆえに傷つくことが装置となってすべてが終わり>>続きを読む
黒沢清の『岸辺の旅』は、デヴィッド・リンチにおける『ストレイト・ストーリー』のような趣きがある。
出会いと別れがこの世とあの世の交錯の組み合わせの多彩なパターンによるものなので、もう誰が何者でも良く>>続きを読む
黒沢清の『予兆 散歩する侵略者』とか『クリーピー 偽りの隣人』を観て思うのは、強い力で握手されてその手が離れないというのは恐いなということ。執拗に撮りすぎている…あと田んぼね、黒沢清って田んぼのそばで>>続きを読む
終盤で二回、これまで蓄積した名作の空気感をぶち壊す瞬間があり、そのどれもがド派手でしかも異化効果をちゃんと生んでいる。だから名作にはなり得ないがカルト的な人気を得ているのだろう。
ドラマ版を観た。単純に愛に帰結しないこのスピンオフのほうが好きかも。大杉漣の登場の仕方はさすがで、いつもの黒沢映画みたくここで大杉漣が出てきたら面白いなってとこで出てくる。そしてあの口笛はなんだ…って>>続きを読む
黒沢清にお金を渡したら『フルメタル・ジャケット』の後半みたいになるんだって思った。あの爆撃が現代劇において長谷川博己に降り注ぐだなんて面白いよ、そこだけ妙に興奮した。でもその興奮って『フルメタル・ジャ>>続きを読む
延期された朝は来るはずのない朝へと暴力によって接続され、衝撃的なラストとともに提示される。結局、なにもかも無駄だったのだ。呆然とする。
まず純粋に、すごい終わりかたするなあと思いました。いま、ここ!みたいなはじまり、終わりのはじまり、で終わる。『スリー・ビルボード』かよ!という時をかけるツッコミ。1930年代にこれはやばすぎます。山中>>続きを読む
こんなにおもしろい時代劇、久しぶりに観た。逆説的なショットの繋ぎで笑いをとる、その単純さがここまで可笑しくなるのか。丹下左膳のあたふたするかんじ、画面内の行ったり来たりして、堂々としているようでひたす>>続きを読む
公開当時に観ていたら、頭がいかれてたと思う。それだけの破壊力。32歳のいま、ある程度自分の生活と立ち位置、やるべきことがわかりはじめてきたからこそ安心して観られた。これはまったく自分の話ではないと思え>>続きを読む
一作目で前提が共有できているおかげでしゃらくさいものすべて吹っ飛ばして好きなことできているかんじが良いですね。続編として相手方に感情移入できるバディを用意することは前作で日常系をやったうえでとても自然>>続きを読む
殺しと日常の塩梅ですよね、やっぱり殺しに比重が寄ってくれていたほうが俺としては気持ちが動くわけです。ただ日本ではこの塩梅から生じるダイナミクスみたいなものに心が動くひとも多いのかなとも思うわけです。