素潜り旬さんの映画レビュー・感想・評価

素潜り旬

素潜り旬

陪審員2番(2024年製作の映画)

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劇場で観ていたら、まっすぐ帰らずに喫茶店寄ってとりあえず一息つきたいやつだった。このコロンボ(古畑)的倒叙を法廷劇でやってそれでいてしっかりイーストウッドな脚本書いたジョナサン・エイブラムスってひと凄>>続きを読む

鶴八鶴次郎(1938年製作の映画)

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京都文化博物館フィルムシアターで観た成瀬巳喜男『鶴八鶴次郎』を観て、あまりの良さにzineの原稿が一気に書けた。長谷川一夫にまつわる詩からはじまるこの映画についてのこと。

月の砂漠(2001年製作の映画)

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三上博がおしゃれな家のなかで移動しながら煙草を吸い気絶するように眠るのをほぼワンショットでとらえたシーンに感動し、とよた真帆のすさまじい色気を超えるショーケンのすさまじすぎる色気に慄いていたらDVDが>>続きを読む

恐怖分子(1986年製作の映画)

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男は入念に手を洗う。石鹸をつけずに。全部がダメになっている。そのことに気づかない、いや気づかないようにしているように見える。すべてを洗い流す、そんなことはしないでいる。俺は、ここで俺はという時点で移入>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

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岡田将生の登場してから退場までの出来事すべてが劇中劇、ということはワークショップは劇中劇中劇。笑 そしてその先の劇は新たな劇中劇。そして岡田将生の登場までの家福が演じる劇中劇もあり
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クレイヴン・ザ・ハンター(2024年製作の映画)

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父と子、兄と弟、そして特別であること。主題はわかりやすいし観ていて飽きないのだが、何かが足りないのは明確で、それはスパイダーマンなのだった。これはSSUシリーズすべてに共通することで、SSU専属のスパ>>続きを読む

喜劇 女は度胸(1969年製作の映画)

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これが森崎東のデビュー作なのか…信じられない。なにがというか全部がここにあるようにかんじる。ゲーテ詩集からはじまるすれちがい、文字通りのドタバタ劇、次々と登場人物たちの手に渡るゲーテ詩集、その朗読のな>>続きを読む

愛妻物語(1951年製作の映画)

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自伝的というよりはどこまでも個人的な(資料と照らし合わせてもそのような)映画で、脚本家自身が監督をしなければならなかった、捉われている、いやちゃんと捉えている、大事な妻との想い出を、ひとつ、またひとつ>>続きを読む

乳房よ永遠なれ(1955年製作の映画)

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デジタルリマスターめちゃくちゃ綺麗で、それだけでだいぶんノイズが減る、気持ちよく観られる、スクリーンでもう一度観たい。葉山良二のデビュー作だけあって煌めいている。彼の凛々しさは中城ふみこの「薄幸」だな>>続きを読む

丹下左膳 百万両の壺(2004年製作の映画)

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全員芝居はくさいが、それがこの作品のスタイルなのだと思えばどうでもよくなってくる。人を斬っても血は出ないが丹下左膳のトレードマークとなる隻眼と片腕になるときには血が出ていて、印象づけとしてはとても効果>>続きを読む

河内山宗俊(1936年製作の映画)

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20240830

まず純粋に、すごい終わりかたするなあと思いました。いま、ここ!みたいなはじまり、終わりのはじまり、で終わる。『スリー・ビルボード』かよ!という時をかけるツッコミ。1930年代にこれ
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狂った一頁(1926年製作の映画)

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地元の先輩川端康成脚本だから贔屓するわけじゃないけど、展開の予測不可能性がもうマックスなんじゃないかと思う。

ダーティハリー(1971年製作の映画)

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いくら名作だと言われようと子どもが被害に遭う映画はいやだ、観ていられない。

曖昧な未来、黒沢清(2002年製作の映画)

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2020年12月10日

助監督に演出を任せて、道路の隅で煙草を吸っている黒沢清監督がめちゃくちゃ格好良かった。

2024年11月29日
黒沢清が言う「ダーティーハリーのクリント・イーストウッドなん
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アカルイミライ(2002年製作の映画)

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ファッションが黒沢清で一番かも、これ。時代性とかじゃなくてこの映画に生きているから着られる。オダギリジョーの服が破れ続けていること。それはもうたぶんやぶれかぶれになってしまう彼の性格にもかかっているの>>続きを読む

牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

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ラスト含め所謂名シーンの数々は凄まじかったけど、長時間の映画ほど再見したほうが面白いのだから、またすぐ観ると思う。物語を追うか画面を見るかで迷いすぎる。濱口竜介監督の言う通り暗いし遠いし。

ミッドサマー ディレクターズカット版(2019年製作の映画)

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『ミッドサマー』自体を初見だがこのディレクターズカット版を観て、カットしたほうがいい部分なんてひとつもないくらいすべてが明かされているように感じる。通常版はもう少し謎めいているのだろうか、そのおかげで>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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黒人の作家の映画が観たかったから(そういうのあんまりないし)ちょうどよかったのだけれど、アジア人がしょうもない助手としてひとりしかちゃんと画面に映っていないことには複雑な気持ちになる。白人と黒人の構図>>続きを読む

ノルウェイの森(2010年製作の映画)

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約10年ぶりに観た、こんなに喋り方が好みだったっけ、学生のときよりよくわかるのは松山ケンイチの語りの調子からしてそうだよなと感慨深い、俺はこの空気感が馴染むようになった、歌ばかりうたっていた俺はいま詩>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

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開始30分くらいまでは、本木雅弘をめぐるショット毎の感情の落差でたたみかけて来るなとか考えてばかりいたけれど(だって、「バカな顔」と言われて呆然→恋のダイヤル6700熱唱、編集者と喧嘩→無表情でアヒル>>続きを読む

あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

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「顔の前に天国がある」という台詞が俺の詩の「顔面に沈み込まない都が」と響きあう部分があり、俺のポエジーが間違っていないことが確認できた気がする。大層な言い方だけれど。

イントロダクション(2020年製作の映画)

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抱擁のパターン、少ないカット数、印象的なカメラワーク、転換のためだけに流れる音楽…ミニマルな撮影のなかに感じる永続性はそのまま文化的な生活に収束する。馴染みの、良い役者たちとのポエティックで幸福な時間>>続きを読む

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(2024年製作の映画)

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大好きなポール・メスカルがグラディエーターとして見られるだなんて…しかも彼は詩人と呼ばれていた。ウェルギリウスの詩の気高き暗誦。前作のすべてを引き受けて、いまとあの時を謳う肉体、怒りがポエジーのように>>続きを読む

グラディエーター(2000年製作の映画)

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会話をテンポよく切り返して去っていく人物をこっから撮るんだ、みたいなお手本のショットがめちゃくちゃあって、話が面白いだけじゃなくて何回観ても勉強になるであろう作品に若きホアキンの怪演があるんだから怖い>>続きを読む

特攻大作戦(1967年製作の映画)

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これは観ておかなきゃだ。『十一人の賊軍』に求めていた戦までのチームになっていくかんじ、いわゆる団結ってやつを見せつけられた。ジョン・カサヴェテスやチャールズ・ブロンソンがあらためて好きになる。そういう>>続きを読む

ルート29(2024年製作の映画)

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人が静止する瞬間が多くあった。それは行分け詩のようで、ただ左から右へカメラは移動する。読めない。主人公ふたりの心みたい。そんなふうに思いながら生と死の淡いをぼーっと見る。それだけ、それだけだったので、>>続きを読む

十一人の賊軍(2024年製作の映画)

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殺陣がいっぱい観られると思って期待して行ったらボンバーマンだった。

ヴェノム:ザ・ラストダンス(2024年製作の映画)

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まさかヴェノムに泣かされるとは…でもなんでコミックに良い原作がたくさんあり素晴らしいキャラたちがいるのに、モブエイリアンや軍隊との戦いがメインの脚本にしたのだろう。不思議。たぶんバディの関係性に焦点を>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

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久しぶりに映画を観て、自分を肯定された気がした。社会と対したときのそれぞれの生きづらさをひとまとめにするでもなく、ちゃんと個々のものとして描かれていた。誰かに悩みを話すと聴いてくれた人を傷つけてしまう>>続きを読む

麦秋(1951年製作の映画)

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ちょうど鎌倉へ行くから、絶対に観ておかないといけないと思い、観た。これを観ているのと観ていないのでは、鎌倉の観光の仕方が違うと思う。まず北鎌倉駅。『チボー家の人々』を話すふたりを想像する。そしてそのま>>続きを読む

うたうひと(2013年製作の映画)

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出町座でトーク付き濱口竜介監督『うたうひと』観た。まず英語字幕ありがたい!方言が聞き取れなくても分かる!そしてカメラ位置よ!質疑応答で聞いたら濱口監督が、フィクションだと提示することで語り手を守ること>>続きを読む

ドキュメンタリー オブ ベイビーわるきゅーれ(2024年製作の映画)

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#ドキュメンタリーオブベイビーわるきゅーれ あの怒涛のアクションのメイキングをじっくりと観られた。「池松壮亮頑張ってるなあ」が「池松壮亮大丈夫じゃなかったんだ」にちゃんと変わる。笑 全身が痛くて一睡も>>続きを読む

ニューヨーク セレナーデ(2001年製作の映画)

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ヴィンセント・ギャロがちゃんと選んで映画に出ているというのが分かるくらい、ギャロにぴったりの役だよボビー・ビショップ、いやケビンは。アーティスティックな司会者だなんて!ナイーブなうえ、恋煩いが再燃する>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

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20200903に書いたものを20241018改稿

この映画の主役はジョーカーだけれど、どこにでもいる道化の物語である。人は皆道化であり、それは太宰治の言うところでもある。太宰はそれをひとりの人間と
>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

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20240220
単純につまらないし、過剰にズラされることでシラケる。というより、何もかもが過剰。カフカ的なこと、フロイト的なこと、それらがやりたいにしても、彼らが別に過剰にやれと書いているわけではな
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ(2024年製作の映画)

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前作よりだいぶん好きだった。恋の万能感で歌い出すなんて近田春夫の歌詞みたい。

「知らぬふりして二人の
やりとり聞けば 誰かのうわさ
俺は一人で タバコふかして
猫みたいな
あの娘思い出して飲んでいる
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