マヤコフスキー「豪華な茶番」を暗唱する女性、兵士は聞き入る、その凄み。
わたしにそれができると思いますか?
ーいいえ。殺されなければなりませんから。苦しみが点火させるポエジーの犠牲者。そんなふうに描>>続きを読む
洗脳によって詩を読んでもまったくなんのことかわからなかったアンナ・カリーナが詩の概念を思い出すところで感動したが、それにしても詩の概念とは…?「闇を光に変えるものは?」という問いに対してのエディ・コン>>続きを読む
『ゴダールの探偵』は謎が解けたとき、ジャン=ピエール・レオーが「考えればよかった」と言ってしまう、探偵モノとしては笑っちゃうような結末だが、「詩人が筆を絶った」映画なので仕方がない。
ゴダール『メイド・イン・USA』で「未完の小説」を書く男のように現れたい。誰かにとって。彼の結末は可哀想だがそれは「未完の小説」が殺人によって完成しそうだったからでアンナ・カリーナいわく「詩と真実は同>>続きを読む
《この町のペーブペントは
無声映画のように動いているのだ》
田村隆一「時計台にむかって」
昨日観た『BAUS 映画から船出した映画館』にぴったりとはまるその一節を含む詩は、田村隆一の詩のなかでも特に>>続きを読む
書き忘れ。『パスタで巻いた靴』(港の人 2021)の詩「テッポー」の影響元なのに。とにかくこの詩に込めたものがすべてなので読んでほしい。とにかくこの頃のジャック・ニコルソンはとても印象深い。詩になる>>続きを読む
ホン・サンス映画のなかでも一番好きかも。まずホン・サンスにしては珍しく物語性がちゃんとあり、でもそれが嘘によって揺らいでいる。観るひとは疑いをもってかからなければならない。そしてカメラは確固たる意志を>>続きを読む
ホン・サンス『草の葉』は『夜の浜辺でひとり』に続きホイットマンかと思ったけれど英題は『Grass』で邦題が寄せている。たしかに「声を聞くこと」をテーマにしているだけあってホイットマンではある。「耳ざと>>続きを読む
20250316
今日は待ちに待った次女の映画館デビューだった。『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』はドラえもん版ザルドス(のび太がショーン・コネリー化する)の次くらいによかった。ポップコーンを予想>>続きを読む
ブレッソンを象徴する手の「調べ」を見ることと聴くことに重ねてドストエフスキーの原作には存在しないテープレコーダーで絡め取ってゆく。マルトに焦がれるジャックが街の先々で見つける「MARTHE」の文字!こ>>続きを読む
20250221
根岸吉太郎『ゆきてかへらぬ』を観て、詩人として思うことはいろいろあるけれど、田中陽造のシナリオ(81年『ラブレター』の次の企画だったとパンフに記載あり)が、89年連載開始の漫画『含羞>>続きを読む
俳優陣の芝居がうますぎて宮沢賢治を語るうえでのノイズになることなんてあるのか。宮沢賢治の周縁において人生のあらゆる場面がこんなに迫力があったとはおもえなくて、なんだか宮沢賢治の人生自体がつくりものっぽ>>続きを読む
ジョン・カサヴェテス『オープニング・ナイト』は大好きな劇中劇のことを考えながら観ていたら、途中めちゃくちゃ怖くて「ちょっとホラーなんだったら誰か教えといてよ観なかったのに!」と思ったけれど、なんとか乗>>続きを読む
『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』を観て泣きながら松本圭二のことを考えていた。
《「マジかよ。嘘みてえだ。ほんとにあっていいのかよ。これ、ボブ・ディランの『タランチュラ』の、正真正>>続きを読む
ゴダール『映画史特別編 選ばれた瞬間』を観た。かなり強烈な体験で、すぐさま半年間書けなかった文章が湧き出てきた。なにがとはまだ言えないがとても大事な言葉が。早くお見せしたいけれど、まだ。そのときが来れ>>続きを読む
ゴダールが羽織っているコート。これと似たようなのを俺も持っている。地下鉄を出るときに肘が破れたらしいが、そんなことあるのかとおもう。この映画のように乱暴だ。だから『気狂いピエロ』に続いてのランボーの引>>続きを読む
レオン&コシーニャ『ハイパーボリア人』は、詩人(肩書はそれだけじゃないけど)ミゲル・セラーノの声が幻聴として聴こえるというメタルヘッドの訪問から物語は動く。実在する詩人や政治家そしてレオン&コシーニャ>>続きを読む
キャプテン・アメリカという存在自体が好きすぎて自分でもキャプテン茨木を撮ってしまうくらいなので、最近不調のマーベルにおいてどんな映画が来ても愛すつもりではいたのだけれど『キャプテン・アメリカ:ブレイブ>>続きを読む
『映画狂人、神出鬼没』で蓮實重彦が「西海岸でサミュエル・ベケットを演出していた若きニューヨーク出身のインテリ青年による、反知識人的な知的B級西部劇の傑作」と紹介していたモンテ・ヘルマン『銃撃』を観た。>>続きを読む
午前1時に墓地に忍び込んで死後の話をするカサヴェテスとめちゃくちゃ嫌がるピーター・フォーク。「おまえもいつか死ぬ」「俺は死なない」をひたすら繰り返す会話と当てのない母の墓探し。死者に告げ口をするように>>続きを読む
前提としてこれだけは観ておけ的なツイートを目撃し(おすすめ機能というのはこういうときにだけありがたく感じる)、初代ガンダムの第一話は観ていた。あと菊地成孔が音楽だからサンダーボルトも。そのおかげでただ>>続きを読む
この都合の良さからくる名作の風貌は映画の魔法でしかないとは言えつつも、ジーナ・ローランズのふるまいひとつひとつに説得力があるがゆえ、なのだともおもう。「3時間待ちなさい」と言うジーナに対して「3時間半>>続きを読む
ティルダ・スウィントンがどうみてもゴダールとボウイの影響下で生みだされたもので、そのひとが死にゆく姿をあらためて見るのはつらい。ただそこから誰も喪に服すひまもないくらいの展開で「これまでで準備オッケー>>続きを読む
去年京都で知り合った作道雄監督の『君の忘れ方』を観た。坂東龍太はほとんど画面に映っていて、喋りかけてくる声の主は生き死にに関わらず画面には映っていないことが多い。彼が喋りかける相手は死んだ役の西野七瀬>>続きを読む
お馴染みポール・デダリュスの人生とともに学ぶデプレシャン版「映画史」はフィクションとドキュメンタリーのミックスだけれど、その垣根もどうやらあまり関係ないみたい。だってインタビューパートのことを監督はウ>>続きを読む
ずっと画面外に居続けるパトリックが自殺未遂で昏睡状態、集まった親戚たちの会話といえば、死が身近な家系だから次は自分かもしれないなどあまり笑えないような話をふざけて言いあっている。かなり多い登場人物たち>>続きを読む
裁判のはじまりから処刑まで。この構成はどうしてもドライヤーと比べてしまう。どちらも素晴らしい。でも決定的な違いがある。この映画にはアントナン・アルトーがいない。これに尽きる・・・。どうしても物足りない>>続きを読む
ゴダールは聴き入っているのか。それともただ音楽を切断したいのか。後者で考えて描写してみる。
音楽が鳴っている。椅子に座りなにか思い詰めたようなゴダールはレコードプレーヤーの針を上げる。音楽が止まる。>>続きを読む
ずっと笑わないミシェル・ウィリアムズ。なにか捉えようのない苛立ちに日々苛まれているように見える。そんなときに怪我をした鳩の面倒を見るようになるが、平和の象徴としての鳩を大切にしているさまは、自分の生活>>続きを読む
森崎東『生きてるうちが花なのよ 死んだらそれまでよ宣言』海のそばの汚い場所でひとが罵られこかされまくる謎の長回しから原田芳雄と倍賞美津子の強烈な寄りの顔芸が続き、宇崎竜童の音楽が鳴りだしたところで原田>>続きを読む
『ウルフ・オブ・ウォール・ストリート』と『ファイトクラブ』をチャンポンした実録風アメリカ映画で主役がトランプでセバスチャン・スタンがめっちゃ似てるだなんて、おもしろくないわけない(トランプに拒否反応が>>続きを読む
生脚の撮り方にとてつもないフェティッシュを感じる。タランティーノかよ、みたいな。監督のハリウッド志向がわるい面で出ている気がする、というのもあきらかに男性的な眼差しでとらえた女性の生活であって、それは>>続きを読む
石橋静河の動き、その説明できなさとカメラとの関係性。ロケーションの良さと表情。それぞれの結びつきのグラデーションがみせるその時々の化学反応が毎秒起きている。
過去と現在と未来は同時に存在していて、そこに夢までも加わってくる。息をするのがどの時間軸でもわたしはわたしである、そこにたしかに存在している、というのが同じ役者が演じることによってそのたしかさが担保さ>>続きを読む
雪国のポエジー。モノクロの映像と雪の町によって可視化される、誰もが誰かの役に立たないという諦観。つらいけれどそういうことなんだ、自然だけがそのまま、わたしたちをそのまま、そのままでいさせてくれる、役立>>続きを読む