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ブレッドウィナー/生きのびるためにのsarのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

たった11歳の女の子が一家のブレッドウィナー(大黒柱)になった家族を中心にタリバン政権による支配を描いた話。難民の話を元に制作されたらしいが作中にタリバンという言葉は一度も出てこない。現在アフガニスタンは再び女性蔑視思想を持つタリバン政権が実権を掌握している為現在も似たような状況が続いてると考えられる(タリバンは女性の権利を尊重するとアピールしているが)。この映画自体は一面的なもので良くも悪くもこれがタリバン政権下の全てではないと思うがアニメーションとしては見応えがある。
この作品で見えてくるのは女性の失われた権利だけではない。間接的に男性も自由が奪われていることが描かれている。パヴァーナの父を連行した若いタリバンの青年やパヴァーナに手紙を読むことを頼んだタリバン兵の男もまた、生きる自由を奪われている。
"スリマンが拾ったおもちゃが爆発した。スリマンは死んだ。"パヴァーナが語る物語の最後の部分だ。そしてようやく再会した父に向かって"花は雨で育つ。thunderでは育たない。"と語る。恐らくこれらの隠語の意味は地雷。作中でも男の子に扮した2人が地雷源を通り戦車に腰掛け遠い海を語るシーンがあり過酷なアフガニスタンの現状に迫っている面でよかった。
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