マクガフィン

恋は雨上がりのようにのマクガフィンのレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
2.8
女子高生が冴えないファミレス店長に片思いする物語。原作未読。アニメ未見。

アイデンティティが揺さぶられる大怪我をして、心の保護やケアを求めることは、何てことのない、お姫様願望的なのだが、女性の恋愛が受けのが多いこととのジェンダーの反転や、王子様願望のステレオタイプと真逆なキャラ設定が固定概念を揺さぶるのだろうか。

女同士の友情やスポーツや青春要素も一応入っており、キラキラさの色彩違いはあるが、構図はキラキラ映画。只、そのフォーマットでも幾らでもやりようがあると思うのだが。原作がどうなのか気になった。

プラトニックで淡い恋愛模様の中で互い見つめることで自分を見つめ直して、諦めかけた夢の障害を克服しようとして、互いに背中を押すかのように再び夢を目指す成長譚に親友の友情を絡めるのだが、ノスタルジックな雰囲気やカタルシスは感じない。

恋愛劇や青春劇の両面が弱く、そもそも本筋がどちらか、又は並行しているのかが判断できないことが作品の説得力が欠けた要因なのでは。
大泉演じる店長の演技が大仰で、細かな心情描写ができない力量不足は如何とも。

ぶつ切りカットで繋ぎが甘く、健気さを描くだけでなくてイタさも描かなくては面白みが欠けて、キャラ同様にサッパリしすぎ。また、演出も冴えなく、デートでの服や映画館での対象描写はわざとらしい。重要なセリフシーンを説明的に繰り返すことは冗長で、雨の心象背景、サンドイッチが繰り返される描写はくどく、100mのタイムやライバルの登場は意味不明。キャラの掘り下げが弱いのでお飾りになるキャストも多数。怪我はいつ治ったのか(雨が降ると傷が痛むのに、傘を忘れたことが治った合図?)。ライバルの壁ドンも身長差が大きく、壁ドンする側の低身長とジェンダーの反転としたギャップをコミカルに表現したのかも理解不能。

小松菜奈と清野菜名の朝日を心象背景とした、ナイキやアディダスのウエアのCMのようなシーンはカッコ良いが、冒頭の小松の駆け巡るシーンと同様に等身大なテイストとは程遠く、作品がブレた原因に。その前後の繋ぎもおかしい。映画なので2人の友情関係は、BL的な雰囲気も漂わす熱量のアクセントも欲しかった。

それでも最後まで飽きなかったことは、小松菜奈のルックスとスタイルに尽きる。原作も脚本も女性なのだから、女の監督の方が良かったのでは。実写化の少ない成功例である「帝一の國」と同じ監督で驚く。