このレビューはネタバレを含みます
原作漫画もアニメも見ていない。
個人的に大人と未成年の恋愛ものが大の苦手であり、批判的視点を持って鑑賞したにも関わらず、観終わったあとの感想が「え？これめっちゃよくない？」だった。
小松菜奈、佇まいや表情は文学的な空気感があって儚いのに、陸上部のユニフォームを着て走る姿が健康的でスポーティで、こんなに二面性が綺麗に同居する美少女が現実に存在するのか、と嘆息する。仮に本作が彼女の表情や絵面で勝負しにきたアイドル映画だとしても、その勝負に勝っている。うだつの上がらないおじさんを好演した大泉洋も良かった。そして松本穂香がとっても可愛らしかった。
大人と未成年の恋愛にわたしがネガティブなのは「いや、大人としての分別をつけろよ」と、大人側に対して強く感じてしまうからだ。本作はわたしのような人間が抱える視点をクリアにする“おじさん”のキャラに好感を持った。おそらく、年の差恋愛に魅力を感じる人にとってはきゅんとする場面もあるだろう。しかし同時にわたしのようにこの手の恋愛に否定的な人間も、驚くほどすんなり見れる映画だった。
恋愛映画ではなく青春映画として描いたところが、この清々しさと爽やかさの正体なんだろうなぁと思う。女子高生→おじさんの恋愛という設定はあくまで取っかかりに過ぎず、女子高生とおじさんがそれぞれの青春を取り戻すお話なのだ…と感じている。
