松浦義英

恋は雨上がりのようにの松浦義英のレビュー・感想・評価

恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)
2.0
好きな人が観てたので、鑑賞。
『期待していなかったけれど、小松菜奈に見入った』との事でした。
…大泉洋のどうでしょうでの振る舞いは↑の方の影響もあって好きなんだけど、演技面では「??」だったけども鑑賞してみた。
(大泉洋は『探偵はBARにいる』も『こんな夜更けにバナナかよ』も演技は自然だから良いよね)

大泉洋のファミレス店長役は似合うんだけど
どうしても『おいおいおい〜!』とか言いそうな気がしてしまう(笑)

最初から小松菜奈は大泉洋の事が気になっていて、途中で明らかにしていく形の作品。
始まってすぐに好意を出していたから
どう展開するかと期待したんだけど、その後の展開は邦画的になってしまって残念。
ゆっくり日常を描いてしまって恋が全然進まない。
…邦画ってなんでこうなっちゃうのかね。
小松菜奈の太腿を画面いっぱいに映すシーンの違和感よ。監督の性癖なのかね。

アキレス腱断裂の過去編を回想の形で簡単にまとめたのは良かったな。
リハビリしなきゃならないのも軽く流していたのはいいよね。
そこをメインに捉えることもできるわけだからね。
…回想への入口もデジャブからの呼び起こしにしたのも美しい。
大泉洋がいるファミレスで大泉洋から励まされたことで
同じ場所で働くようになったという必然性も自然なのは良かった。

ただそこからの展開が…。
小松菜奈も結果的にかわいくなかった…。
まあ、これは俺の好みの問題かね。
男性からの女性と
女性からの女性じゃやっぱり違うだろうしね。 演技も可もなく不可もなくみたいな。
『閉鎖病棟』の時も思ったけど、その人なりの色がないんだよなこの人。

嫌味を掘り返して、人の秘密を掘り下げようとするクソ男やべえ。
こんな人現実にいないんだから、余計映画に出すことに違和感を感じるなあ。
間のとり方が違和感ありすぎて自然じゃない。
狙っているのかと勘ぐりたくなる演技と演出だ。
すぐに退場したのは良かったけどね(笑)

あと、「もう戻れない」がダブルミーニングになってるのが良かった。
…友人としての『もう戻れない』にショックを受ける部活仲間の同級生はダサいなあ。
嫌悪にならず会話出来る時点で仲良くなる方法なんていくらでもあるのになあ。

「自分でそう決めたのなら、いつか懐かしく思える日が来るかもしれない。
けど、ただの諦めだとしたら立ち止まったままになってしまうんじゃないかな」
って友人との関係性に悩んでいる小松菜奈に大泉洋が話すシーンは良かった。
…こういう事は自分で経験して獲得していくものだけど、
自分じゃ本当にそれが正しいのか、正解なのか、なんとかなるのか…
わからないんだよね。自ら経験するまでは。
でもそれを経験するのってすごく勇気がいるし、失敗したときの絶望は凄いから怖いんだよ。
でも、『そうなのかもしれない』って尊敬している人から言葉がけをされたら、
しかも相手が大人の人なら余計に、
「あぁ…そうなのかもなあ」って信じられるんだよね。好きな人なら尚更。
それをさらりと描いたのは良かった。
さすが大泉洋、演技上手い。

結婚したかった人。
仲良かったけど、第三者に断絶された異性の友人。
なんとかなるのかな、諦めなければ。
いつもそう思う。
そしてこういう映画に、こういうセリフに出会うんだよね。

ここまではなんとかいい。
けどここからは駄目だ。
陸上の記録が話のメインになるラスト30分の迷走っぷりがヤバい。
テンポが崩れすぎている。
大泉洋との恋愛一本で陸上をサブにしたままラストにいけば良かったのになあ…。
…「バイトにずっと入らなくていい」
っていうのは『陸上に向き合いなさい』ってことなんだけど、
『生活費稼ぐためにバイトしてるんじゃないの?やめたらマズくない?奨学金?』
って思っちゃう。
暇つぶしでバイトしているって描写が少しでもあれば一応納得は出来たんだけどなあ…。
…ラストは「友達ならメールくらいしてよ」と伝える小松菜奈。
大泉洋も否定せずに笑顔で応える。
うーん、それはまた恋愛に戻るじゃないか。
やりたいことをやった上での恋愛は良いのかもしれないけど、
この二人はそれしちゃ終わっちゃうと思うんだけどなあ…。
繋がりたいと言葉で伝えたのは凄く偉いと思うけどね。
なかなか一度連絡がつかなかったり避けられたりしたら連絡できないもんだからね。

戸次重幸と大泉洋のシーンは良い。
空気感がTEAM NACSだよね。
…でも、
「夢を追い続けている事は未練ではなく、執着。
諦めずに足掻いて、前に進もうとするなら執着って言うんだ」
っていうセリフは臭い。臭すぎる。
もうちょっと現実的にストレートに言えばいいのに、『執着』だと汚いだろう。

ヒロインが陸上に復帰してラストに向かうけど、そこの描写もなんか臭い。
あと、ヒロインと自宅で関係性が近付くシーンがあるけど、子供はどうしたんだろう?
…こういう臭くて違和感がある場面が多すぎるのはなぜかと思ったらこの映画の原作は漫画なのか。
そのままトレースしたのかな?だとしたら臭くなるのは仕方ないか…。
こういうところ、日本人のクリエーター苦手だよね。
だから実写化はスベりまくるんだと思うよ。
少なくとも原因の一因ではあると思うなあ。
松浦義英

松浦義英