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Love,サイモン 17歳の告白のHAYATOのレビュー・感想・評価

Love,サイモン 17歳の告白(2018年製作の映画)
4.1
2024年214本目
カミングアウトの難しさ
ベッキー・アルバータリの小説『サイモンvs人類平等化計画』を原作に、LGBTQの当事者である男子高校生の成長と葛藤を描いた青春ドラマ
両親、妹と暮らす17歳の男子高校生サイモンは、ゲイであるという秘密を抱えていた。ある日、学校に匿名のブルーというゲイの同級生がいることを知ったサイモンは、思い切って連絡を取ってみることに。メールをやり取りするうちにブルーに惹かれていくサイモンは、ブルーの正体が気になりはじめる。
監督は、ライアン・レイノルズの黒歴史『グリーン・ランタン』で脚本を担当したグレッグ・バーランディ。彼自身もゲイであることを公言している。
『ジュラシック・ワールド』で大惨事に巻き込まれる兄弟の兄役を演じたニック・ロビンソンが主演を務め、『ナイブス・アウト』のキャサリン・ラングフォード、『バービー』のアレクサンドラ・シップ、『トランスフォーマー』シリーズのジョシュ・デュアメル、『僕のワンダフル・ライフ』のローガン・ミラー、『アリータ:バトル・エンジェル』のホルへ・レンデボルグ・Jr、『15時17分、パリ行き』のトニー・ヘイル、『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』のナターシャ・ロスウェル、『ダラス・バイヤーズクラブ』のジェニファー・ガーナーらが共演。
本作の主人公・サイモンは一見幸せそうな毎日を送っているが、自分がゲイであるということを隠している。サイモンが通う高校にはすでにゲイをカミングアウトした生徒がいるなど、LGBTQにとってそこまで不利な環境には見えないが、それでもサイモンが一歩を踏み出すことができない様子を見ると、以前よりも多様性への理解が増した世の中になってきているとはいえ、今は今なりに当事者は悩んでいるということが伝わってくる。LGBTQはストレートと違い、恋愛をするためにはまずカミングアウトをしなければならない。その理不尽を嘆くサイモンの言葉が印象に残った。
そして後半、ブルーの正体を探っていく中で大ピンチに陥るサイモン。しかし、酷い目にあったサイモンもまた、友人たちを傷つけていたことを知る。主人公に対する批判的な視点も加わることで、思春期ならではの悩みはジェンダーを問わず皆が抱えていることに気づかされた。
難しいテーマだが、終始明るいトーンで進んでいく本作はティーンムービーとしても楽しむことができる。友人や家族の大切さを感じさせるほっこりな結末に癒された。リアちゃん、幸せになってくれ....。
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