大西辰明

アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニングの大西辰明のレビュー・感想・評価

3.7
ルッキズムが良いとか悪いとか自己肯定感が高いだの低いだの言われてもうかなり経っているけど、一番大切なのは他人が自分をどう見るか、評価するかでは無く、
自分が自らを信じれているかどうかってことをものすごく真摯に描きつつ、
レネー役の女優さんのコメディ演技のセンスでクスッと笑いながら見れるので、センシティブなテーマなのに説教臭さがかなり抑えられているのが👍

センシティブなテーマを真摯に描き切っているという点で特筆すべきなのは
レネーが頭を打って自分だけ生まれ変わったと錯覚し始めたシーン
こういう"もし自分が憧れの〜に生まれ変わったとしたら"的なシーンの場合、レネー本人にはこう見えてますよー的な偶像、ツマリ超美人になった版のレネーが鏡などに移ってるのがセオリーだと思うけど、今作はそう言った誤魔化しが一切無い、そのおかげでちゃんと、作品の中でイケてないとされる登場人物たちが、見た目はそのままなのに自分に自信を持つことによって自分の立ち振る舞いも周囲の反応もいい方向に変化していくことに対する説得力が高い。
しかもこの仕掛けが最後のオチにつながってくるからもう言うことありません。

しかし、細かいことを言うと、ラスト周辺のTED風の演説シーンはちょっと前半中盤の痛快さがうりだったのと打って変わって説教臭さみたいなものを感じてしまった。あそこは演説風の演出よりもっと動きもつけて派手な見せ場をもう一回作って欲しかった、尻窄み感も否めなかったのでスコア3.7
にしても元気が出る素晴らしい作品です。
ちょっと自尊心が傷ついた日に見ることを推奨します。
大西辰明

大西辰明