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アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニングのkuのレビュー・感想・評価

5.0
国や世代問わず美醜に悩んでる人が多いこの世の中。自分の顔が嫌いで毎日泣いてた。鏡を見るたびに叩き割りたくなってた。昔からブサイクだとか気持ち悪いだとか言われ続けてた。大人になった今でも深く刻まれているその声はあたしを死ぬまで苦しめ続けるだろうと確信し、絶望した。芸能人のように可愛ければ幸せだったのだろうか。汚物を見るような目で蔑まれることはなかったのだろうか。違う人生を歩めただろうか。正解は分からない。あたしが出した答えは顔を整えることだった。今までの人生が嘘だったかのように愛された。所詮人は顔なのだと、また絶望したのだ。顔を変えたところで幸せにはなれないと、知ってしまった。

過去に一度でも外見や個性を否定された人に観てもらいたい。もちろん人を外見で判断するような人間にも。他者の些細な一言が呪いになる。反面、力強い言葉はどんな地獄からも救ってくれる。誰があたしを美しくないと決めただろうか。誰があたしの心を殺しただろうか。それはあたし自身だった。他者の言葉に踊らされあたしはあたしを殺した。醜いという烙印を刻んでしまった。誰がなんと言おうとあたしは美しいと、そう思える強さが欲しかった。自尊心は影に飲まれ消えていった。

ラスト10分はそんなあたしがずっと求めてた言葉をレネーが言ってくれた。レネーの言葉に一秒と待たずに涙が溢れた。声を出して泣いた映画はいつぶりだろう。思っていた以上に外見への呪いが強かった。救われた。誰もが外見へのコンプレックスを抱えてる。どんなに綺麗な人だろうと涙の1つや2つ、10や100ぐらい流すっていう事実から目を背けてた。あたしだけが醜いわけじゃない、弱いわけじゃない。最初から強い人もいない。美しくない自分や、弱い自分と向き合って強くなっていく。だからこそ美しく輝けるのに。

今のあたしだからこそこの映画が響いた訳なんだけれども、それでも過去のあたしにこの映画を贈りたい。あたしは美しい。それを他人が否定していいものじゃない。あたしたちが持つ自尊心や信念、強さや美しさは他人が奪っていいものじゃない。

だって私は私だから。私であることを誇りに思う。
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