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スカイスクレイパーのmのレビュー・感想・評価

スカイスクレイパー(2018年製作の映画)
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(「ダイ・ハード」+「タワーリング・インフェルノ」)×ロック様、というとても愉しげな方程式から導き出されたのは良くも悪くもゼロ年代ハリウッド映画という感じの作品だった。

とにかく脚本がガッバガバのユッルユル(こういう所で「ダイ・ハード」の完璧さを思い知る)。演出は頑張っているだけに、脚本がもう少しまともだったら・・と勿体無く思う。

犯人側の犯行手口がユルユルな事(そもそものビルのセキュリティもザル過ぎる)、犯人側のキャラクターが皆個性がすこぶる薄い事(唯一印象的な女性の悪役は残念な事に前線に出てこない)、主人公と犯人側との攻防がほとんどないので見せ場が主人公がビルに飛び移ったり落ちそうになったりする所しかない事、そしてようやく犯人との直接対決になるクライマックスもちゃちなガジェットを駆使してしまって全く冴えない事、とにかく色々残念。ロック様の義足設定もせっかくの良いアイデアだったのに、活かし方がそこまで冴えない。

こういう感じで色々不満点を書き連ねてはみたが、一緒に観た人間とこういう話をすると作品への突っ込みが不思議と楽しく会話が弾む。この辺りがこの作品の愛嬌で、このユルユルさが決して嫌な感じではなく何だか大らかな気持ちになれる良い意味での隙みたいなものになっている。この大らかさはちょっと懐かしく心地良くて、たまにはこれくらいの映画があるのも良い事だと思う。


色々な映画で最強ツールとして扱われているダクトテープが今回も大活躍、遂にMI6の秘密道具と同じ使い方をされるようになった(笑)

ロック様はあの筋肉ダルマみたいな見た目に反して繊細な人であるらしく、彼の演技はいつもダイナミックながら意外と細やか。今回もそこまで強くない人であるという人物造形も相まって、決して大味ではない細やかさが感じられる。彼の家族愛の表し方も良くて、今回も安定した現代的な繊細なマッチョ像を体現していた。

ネーヴ・キャンベルが元気そうで嬉しい。
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