TaiRa

プーと大人になった僕のTaiRaのレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
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ディズニーが仕事辞めたい全大人へ贈る映画を作ったよ。

1977年の『くまのプーさん 完全保存版』のラストから始まる。クリストファー・ロビンが大人になるまでの間にプーたちを忘れていく過程を描きながら、一方でクリストファー・ロビンの帰りを待ち続けるプーの姿を映すオープニングシークエンスが良い。会社の業績不振で部下をリストラしなければならないロビン。仕事に時間を取られ家族との関係もギクシャク。精神的にキャパオーバーした時、プーと再び出会う。大人の自己セラピー映画なのに空想が現実の世界に飛び出してしまう事で歪な映画になってる。しかもそれを平気な顔してやってる。気の狂ったロビンが想像した世界にも見えて来る変な映画。そもそも原作も戦争に行ってPTSDを負ったA・A・ミルンが自分の息子(クリストファー・ロビン・ミルン)の為に書いた物語で、自己セラピー文学の面が強かった。ロビンも第二次大戦に行ってる設定。仕事の事や家庭の事はあくまでトリガーという感じで、戦争の影響もかなり重要なのかな。霧の森や落とし穴の中で見る夢など、精神的な不安が具体的に表出する。そこを越えるキッカケにズオウとの戦いがあって、あそこは楽しい場面。2部構成っぽい作りで、前半がロビンの話で後半がロビンの娘の話になる。ロンドンの場面が特にそうだが、プーたちがロビン以外の人間の目に触れる事の異様さが凄い。『くまのプーさん』にそういうの求めてたかと言われると微妙だけど。赤い風船は良い小道具だけど上手く使えてなかった印象。あと『くまのプーさん』の映画ならナレーターが欲しかったし、最初と最後に本も出して欲しかったな。
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