Shelby

プーと大人になった僕のShelbyのレビュー・感想・評価

プーと大人になった僕(2018年製作の映画)
4.8
純粋さが故に100エーカーの森の仲間たちの何でもない言葉ひとつひとつが、現代人の心にチクッと刺さる。
どれも核心を突いてくる言葉たちばかりだから堪らない。それは日々の忙しなさで我々が摩耗し浪費していくもの。現代を生きる上で、目を背けがちな、忘れてはならない心の一部分ばかりなのだから。

忙しさで、目の前のことを疎かにしてしまう現代人。その中でも家族に目を向ける暇がなく、仕事ばかりな世間のお父さんが1番心に刺さるんだろうなぁ。今作で言うクリストファーロビンのように。幼い頃父が亡くなった時に告げられた、あなたが家族を支えていくのよ、という言葉に縛られていたのがよく分かる。責任感が強かったがために仕事に追われる日々になってしまったクリストファー。そんなクリストファーがプーと過ごしていくうちに〝心〟を取り戻していく。
それは、書類が入った仕事用カバンよりも、必死で練った経費削減の案を書いた書類よりも、とってもとっても大事なもの。

なんともいえない、くたくたの質感を醸し出すプーさん。森で長らく過ごしていたため、沢山傷んで萎れてしまったパイル生地はまさにその証。映画で凄くリアルにその質感が再現されていた。風になびく毛質、雨に濡れた質感、ハチミツでベトベトの足跡。どれも堪らなく可愛い。
プーやピグレットの一挙一動で擽られる。只々可愛いの一言。

クリストファーが忘れていた子供の心。誰しもが経験したことのあるが故にノスタルジックな思いに駆られること間違いなし。
温かで、純粋無垢な100エーカーの森の仲間たち。全世界で愛されるべきキャラクターという所以が頷ける。


劇中やアニメでも、何度も出てくるワード。


〝プーのおばかさん〟


2人の掛け合いには必須であるこのワードは、ガチガチに凝り固まった心に染み入る優しくて、愛が溢れた温かな一言。
心が疲弊し切っている大人だからこそ、このプー達の純粋さが眩しくて、心洗われるはず。まさに、大人に染まり切ってしまった大人達に対し警鐘を鳴らす映画。
Shelby

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