Qvoymi

ある少年の告白のQvoymiのネタバレレビュー・内容・結末

ある少年の告白(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

試写で観させていただきました。
控えめに言って最の高でした。

思いっ切りネタバレしますので注意★

同性を好きになってしまうゲイの少年が
ある出来事をきっかけにそれを両親に
カミングアウトし(父親はカトリック教会の牧師)
ショックを受け悩んだ末の両親に矯正施設に
入れられてしまう。
彼も更生しようと努力はするものの
セラピー?治療?と称した理不尽な扱いを
受けまくる…というお話。

両親がカトリックで父親はましてや牧師なわけで、
世間の目は気になるわ冷たいわで
父親はそれしか考えず、息子の話も聞かない。
母親は父親の言いなりでオドオドしてるだけで
頼りにはならない。
施設には同じ様な境遇の少年少女がいて、
みんな自分の中の何かを殺してセラピーを受ける。

施設内でのセラピーの内容は絶対口外禁止。

自分の過ち(同性と何をしたかなど)を
文章にしてみんなの前で読まされる
それに対する本心をセラピストに決め付けられて
侮辱され、更にはプログラムに従わなければ
葬式の儀式を開催されみんなから罰を受ける
(聖書で殴られ浴槽の水に沈められる)

自分を失い矯正されて行く。

んま〜ここまで腹の立つこと腹の立つこと!
救いが無い!!

しかもジャレッドがカミングアウトするきっかけの
出来事も、入学した大学で仲良くなった友だちに
突然レイプされ、気まずくなって避けてたら
嘘のチクリ電話を家にされてしまう
(その役がジョー・アルウィン!!)とかで

まぁ〜これも腹立つし
父親は子どもの体の心配なんか1mmもしないし
ジャレッドもそのことは誰にも真実を言えないしで
観ているうちに涙目で拳に力が入る入る。


しかし

それらの出来事に違和感を持っていたジャレッドは
ついに自分の番になりとうとう爆発して
セラピストたちと衝突!

怒りながら教室を飛び出し、
取り上げられていた携帯を取り戻し
母親に迎えに来てくれとSOS!

ママ、何とかしてよ!

ここでジャレッドに飛び出されてはまずい為、
必死に彼を宥めて説得するセラピストたち。

おかーちゃん頼りないしな〜
大丈夫かな〜
何とかしてくれるんかいな〜

とか思って観てたら
キッドマンかーちゃんつええつええ!!

ジャレッドを取り戻せない腹いせに
捨て台詞を吐くセラピスト(ジョエル・エジャトン)にも

あんた資格あんの!?見せてみなさいよ!!
このクソエセセラピストが!!!!
(正しいセリフではありませんww)

とか怒鳴って息子を連れ帰ってくれるのです!

かー!!ちゃーーーん!!!


しかし家にはセラピストよりも怖い父親が…。

案の定、施設へ戻れの司令。
それにもかーちゃん、絶対戻らせないわ!と強気。

母は強し。
そうだよ。かーちゃんが味方になってくれなきゃ
誰が味方になってくれるのよ…。

いつの時代だろうと
どんな生き方であろうと
かーちゃんだけはいつも子どもの味方であって欲しいよ…


この辺から安心して観れる様に。

結局ジャレッドは施設には戻らず、
父とも和解出来ずに4年生になります。

新聞社に寄せた告発分が話題になり、
書籍化の話もあるままニューヨークへ行くことに
(就職?)

息子ときちんと向き合おうとしない父親に
ジャレッドは最後の別れを告げに行きます。

ここで彼が父親にぶつけた言葉は
とても筋が通っていて、愛があり芯があり、
意志が強くて感動させられます。
父親なんかよりよっぽど傷付き大人になったジャレッドです。


信念は何か?

大切なものを失ってはいけないという
想いが重く強くのしかかって来るお話でした。


そして細かい表情の全てを完璧に演じた
ルーカス・ヘッジスくん
凄く良かったです。

オドオドした頼りない母親ニコール・キッドマン
始めは、なんなの!?とかイライラしてたけど
途中からは息子への愛を強く貫く
カッコイイママに変身!

父親のラッセル・クロウも
セラピストのジョエル・エジャトン、フリー、
トロイ、キャメロン役の子、セオドアくん
みんな凄くよかった…
(ドランはどこいた?)


そして終わった後のトークショーなど
いろいろ考えさせられた。

ボヘミアン・ラプソディでのフレディについてもそうだけど

フレディが生きてた頃まだ子どもだった私は、
正直、髭に短髪で胸毛もじゃもじゃの胸元を晒し
ピチピチの服に身を包む彼は少し気味が悪いと
子ども心に思ってました。

そして当時″ホモ″と呼ばれていた人たちを
毛嫌いする世の中に何も疑問を持たず、
ゲイは良くないものだと思っていたし
AIDSはゲイの病気と認識していたし、

ほんとにいま思えば恐ろしいぐらい間違いだらけ。

それが全て間違っていることに気付いたのは
大人になってから。

恐ろしい世の中です。
いや知ろうとしなかった私も無知でバカだった。

障害者は普通に避けられたり虐められたりしていたし
何かが″普通″と違うとおかしいんだと思っていた。

いまはそんな考えは持ってないし
変われたので良かったけれど、
あの時代(いまもかもしれないけど)に
生きてた人たちは、なんと生きづらかったことだろう…
と憂う。(憂いてる場合ではないけど)

そんなことを考えさせられました。
公開されたらまた観に行きます!
Qvoymi

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