これは過去の話じゃなく、今も世界のどこかで苦しんでいる人々へ向けた事実の告白。
実在した、同性愛矯正施設の酷い実状が描かれる。
精神的に参らない人は居ないだろうし、
人格形成の時期である、10代の青年にトラウマを残すのは確実だろう。
そんな施設が今も存在するなんて信じられない…
(15の州とワシントンD.C.で矯正施設を禁じる法が成立。だが今だに35の州では残っている。)
ここからネタバレあり。↓
今回はここに触れずに書けなかったので…
正直作中で一番動揺したのは、エンドロール前の最後の一文。
「サイクスは、今は夫と暮らしている。」
これに関して、サイクス役兼監督のジョエル・エドガードンは非常に慎重に表現したとか。
だけど、具体的には全く触れられない。
いつからだったのか。
治療を信じていたのか。
実際は、施設を辞めてから卒業した少年少女に謝罪をしたそう。
どういうきっかけでそこに至ったのか。
「誰もが被害者だった。」ということだろう。そこにもきっと葛藤や苦しみがあったはずじゃないか…
彼視点の、施設側からの、ストーリーを観てみたいと強く感じました。
あとは、グザヴィエ・ドランが予想以上に沢山出ていて嬉しかった!
彼の役も重要で、誰に対しても触れるのを拒否していたのに、引き止めるために腕を掴んだシーンはぐっと来ました…。
ゲイリー役を務め、主題歌を歌っている、トロイ・シヴァンも魅力が際立っていた。
彼は、シンガーソングライターとして100万セールスを記録する次世代スター。そして同性愛者だということをカミングアウトしている。
こういったキャスティングが素晴らしい。