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暁に祈れのMATAOのレビュー・感想・評価

暁に祈れ(2017年製作の映画)
4.0
タイの刑務所に入ったイギリス人ビリー・ムーアがムエタイで戦うという、実話に基づいた凄絶かつ殺伐とした内容でした。
撮影は本物の刑務所、本物の元囚人を使っているそうです。監督はリアリティを追究してます。

まず、タイの刑務所の環境が最悪です。暴力、薬物、レイプ、不衛生、賄賂。刑務所内でも普通に人が死んでます。囚人たちは全身刺青だらけで、刺青のない部分の方が少ないくらいです。そして囚人たちの大半は野蛮で凶暴で短気です。

ビリーは刑務所内で更に薬物中毒になりながらも、ムエタイに没頭することで自我を保とうとしているようにも見えました。
ムエタイと薬物と酒でボロボロになったビリーは吐血して倒れますが、2010年に出所し、現在は薬物に苦しむ人のサポートをしているらしいです。

万人に薦められる映画ではないと思いますが、言葉にはならない感動がありました。
邦題を『暁に祈れ』としたのはいいセンスです。
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