ラストの清々しさよ。例えば『鳥』では終末した世界に飛び出ていく暗澹たる気持ちからすると、今作は何故こんなに晴れ晴れする気持ちになるのだろうか。ポストアポカリプス物で恐ろしい外部の世界に進出することを肯定する。観客は気持ちよく劇場を後に出来る。
阿部菜々実、この子の体躯が凄い。グラウンドでクラウチングスタートの姿勢に入る瞬間に脚の長さに驚く。そして太ももが綺麗。高所から飛び降りて、着地した瞬間の姿勢が非常に美しい。これこそ実写の長所だ、生身の身体性に力がある。手足の長さは積極的に身体を動かす役に映える。
スコップを振り下ろした時、足腰にちゃんと力が入って地面にしっかり脚が付いている画が印象的。多分もっと脚を開いて、踏ん張ってるような姿勢なんだけど、フルショットが見れないのは残念ではある。とにかく彼女がスペクタクル。窓辺で肩肘を付く、彼女は綺麗だった。
夜、学校の窓辺で自分たちの将来を語らう場面。全員が将来への空想を抱き始めてから、窓の向こうに見える、住民が居ないはずの街並みに明かりが点いていく。窓から覗ける学校外にある世界への憧れは、最後に果たされる。夜ではなく明かり一杯の天気の中で。
めぐねぇの部屋とやらが初めて登場して、その中に入っていき会話をする瞬間、めぐねぇ役のおのののかのカメラ目線つーか、表情に笑顔だけが張り付いている妙に違和感のあるカットに、何だか小津っぽさを感じた。ここは印象的。
校歌を流しながら学校の日常をモンタージュするんだが、バリケードを組み立てるのも日常というところがツボ。学校の思い出、それはバリケード。