けーはち

フューリアス 双剣の戦士のけーはちのレビュー・感想・評価

フューリアス 双剣の戦士(2017年製作の映画)
3.3
ロシアの英雄コロヴラートを主人公とした時代劇。モンゴルの征服者バトゥのリャザン襲撃において大軍に立ち向かい伝説化された敗戦悲劇。要はロシア版「300 〈スリーハンドレッド〉」だが、何分寒いのでムキムキ男祭りではない。白銀世界に黒影が飛び交う水墨画並みの場面さえある彩度が低く耽美な画。とは言え、やり過ぎると地味なので、モンゴル側はタトゥー・白塗り・金箔など様々に彩るエキゾチックを強調したファンタジー寄り。基本的にロシア側視点なので一敗地に塗れるとも子孫に伝える不撓不屈のナショナリズム精神を称揚する語り口なのだが、バトゥ側も偉大なるチンギス・ハンの孫である重圧や恐れに打ち勝つテーマを持ち、傲慢・高圧的ながらも勇敢な戦士の魂に敬意を払うなど魅力ある悪役として描いている。音楽もモンゴル側はアルタイ族の歌唱法ホーミーを絡めた不穏な曲、ロシア側はゴリゴリのヘヴィメタルに東欧的な唱歌のハーモニーと明解。地味でマイナーな題材ゆえの御当地大作時代劇としての独自性が輝く一品。

蛇足だが、主人公が敵の大群の前に仁王立ちすると神風が吹いてビビった敵が退くくだりは日本の元寇リスペクトかしらん🌪️