キョーカイ

千と千尋の神隠しのキョーカイのネタバレレビュー・内容・結末

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

見るたびに発見がある奥深い映画だと思う。
テーマは「子供の成長」「名前は人の重要なアイデンティティ」「孤独の悲しみ」「親離れ、子離れ」など沢山読み取れる。

絵はすごく綺麗だし、お母さんにべったりな甘えん坊だった千尋が湯屋で一人前に頑張る健気な姿から元気をもらったりもする。
一方、妖怪や神様を扱う不思議な世界の話だから、作中の世界のことを考えていくとゾクッとするような怖さも感じる。
子供レベルでもわかるような面白さと、大人が永遠考えてられるような難しさを併せ持っている。ジブリ至上最高傑作で間違いないと思う。

カオナシのメッセージ性は大人になってから見るとすごく分かる。他人の顔色を伺いがちな人が多い日本人に刺さるキャラだと思う。自分も他人に求められると何でもしてあげたくなってしまったりする。その根本には人から認められたい、頼られたいという承認欲求や孤独への恐怖がある。

その点はカオナシと自分は同じだと思う。カオナシは1人では何もできないから、そんな自分に優しくしてくれた千のために何でもしたくなる。千と仲良くなりたいからこそ沢山尽くそうとする。でも千はそれに応えてくれない。自分はこれだけやってるのに何で振り向いてくれないんだって思いが怒りに繋がる。この気持ちすごくよく分かる。

結局カオナシは銭婆のところに置かれることになるが、最後銭婆が「お前はここにいな」って言ってあげた時、カオナシはすごく嬉しそうだった。孤独ではなく、自分のことを必要としてくれる人ができた喜びだと思う。これもすごく感情移入できた。

未だにわからない点は、
・電車の行き先はどこ、途中駅はどこに続いているのか、昔は帰りがあったとはどういうことなのか。途中駅の少女が「火垂るの墓」の子っていうのは本当なのか。
・電車に乗ってる人間っぽい人が全員黒いのは何故なのか。死者だからなのか?
・リンの正体。人間なのか、考察通り白狐なのか。顔に点がないからナメクジではないのでは
・三つ頭の奴らって何者?
・夜になると現れる川の向こうはどんな世界なのか
・沢山いる豚は全員迷い込んでしまった元人間なのか。
・帰る時なんで振り向いちゃいけないのか


沢山考えられる作品だから大好きです。
キャラだと、サバサバだけど優しいリンが一番好き
ハクが名前を取り戻すシーンは毎回泣く...