JohnOno

千と千尋の神隠しのJohnOnoのレビュー・感想・評価

千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)
5.0
「映画館でジブリ」2本目。
本作もこれまで何度見たか覚えていないけど、映画館で見るのが2回目なのは確か。そして今回、19年前には見えなかったものが見え、そして忘れていた場面を思い出せて大満足、文句なしの5.0です。
古来、八百万の神々と暮らしてきた日本人、その神々が宿る自然。人間に汚された体を癒し洗い流す湯屋。監督が文明の行き過ぎに疑問を呈し、自然との共生を問い続けてきた視点は全くブレない。そのテーマは、「もののけ姫」で描かれた激しい対立から、カオナシのように時代に流されてしまう存在をも包み込む優しい眼差しに変えつつ、確かに受け継がれている。ちなみに「となりのトトロ」は人と自然がうまく付き合っていた時代のファンタジー。「まっくろくろすけ」が釜爺のもとで一生懸命に働く姿が何ともおかしい。
また本作は、そんな神々が集まる異界に迷い込んだ頼りない主人公が、油屋で働くうちにだんだんと自分の意思を強く持つようになっていく、少女の成長と淡い恋の物語でもある。振り返ることができない切ない別れ。この先、千尋はまたどこかでハクと再会できるだろうか。
あと、電車のシーンは、かつて監督がインタビューで、「降りて行きすぎると戻って来れなくなる」と語った深層世界。その片鱗を垣間見るだけで、あちらに引き込まれそうになる。怖くて泣きそうだった笑
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