紅蓮亭血飛沫

ザ・タンクの紅蓮亭血飛沫のネタバレレビュー・内容・結末

ザ・タンク(2017年製作の映画)
1.2

このレビューはネタバレを含みます

南極に設置した施設にて宇宙飛行士6人が共同生活をするという、火星探索への準備としての訓練プロジェクトが始動。
約500日、その施設内で過ごす面々だが、次第に彼らは狂っていく…。

まず、彼らチーム内が揉めた原因、つまり亀裂が入り始めるきっかけなのですが、これがまぁしょうもない事この上ないのと、それぐらいの事で何で仲違いしたの?という落胆が強い。
食料にあるチョコレートが無くなったとか、トランプのポーカーゲームで負けた事だとか、そういったしょうもない事が引き金となった…という首を傾げすぎて折れそうになるぐらいの意味不明な原因。
勿論根本的な原因はそれ以上に、“この閉鎖環境で長い期間を過ごすという事から生じるストレス”によるものである事が本作で描かれますが、はっきり言ってそのストレスによって疲れる・やつれていくといった過程が全く描かれていない、あったとしてもさほど気にも留めない程度のしょぼい描写だったりするため、「あ、そんな程度のストレスであっさり折れちゃうんだ」とガッカリ。

ストレスにより他者への当たりがきつくなる、チームワークを乱す、悪い事態を引き起こしてしまう…という因果関係を徹底している事、これは悪くないとは思います。
が、設定・舞台・環境を考慮すれば、何故この程度の事で彼らは簡単にもめてしまうのか、ギスギスしてしまうのかという疑問でしかなくなります。
火星探索のために用意した宇宙飛行士云々、という紹介が最初にあったように、彼らはそれ相応の経験や実力を備えている熟練者のような事をほのめかしておきながら、いとも簡単にポッキリと精神が折れる。
これは最早宇宙飛行士云々を馬鹿にしてるんじゃないか、と思わずにはいられないぐらい、彼らは脆い。

また、このプロジェクトを提案・企画した責任者コンビが取り調べを受けている場面が度々挟まれます。
そもそもなぜこのようなプロジェクトを起ち上げたのか、といった理由等はまぁある意味全否定するほどではない、今時珍しい一つの答えであったのでここは本作で唯一見た甲斐はあったかな、と。
あまり援護する理由にもなってない程の些細な設定ですが…。

総括するとはっきり言って面白くない、駄作です。

P.S
思えば本作のような閉鎖環境で長い時間を過ごす、という映画の一つに“300デイズ”という作品がありましたね。
何故か真っ先に思い浮かんだ映画がそれでした。
あれはあれであまり褒められた出来ではないのですが、世界観や設定等はあちらの方が楽しかったし興味をそそられました。
本作を見ようという方は、これよりも“300デイズ”を見た方がまだ傷も浅くなるかもしれません…。