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アニマルズ 愛のケダモノのmurauのレビュー・感想・評価

アニマルズ 愛のケダモノ(2016年製作の映画)
3.0
完全なる飼育事件の映画化、とパッケージの煽り文に見事にのせられ鑑賞。が、期待したほどではなく残念。

バイオレンス描写は良い。禍々しい道具達や血痕、生傷により凄惨な現場を脳内にイメージさせられます。直接的な暴力は見ていないのに思わず顔を背けたくなる演出は見事です。

女子高生がこの監禁から如何に逃げるかが映画の主題ではなく、犯人の妻の心の揺れ動きが見どころで実質的な主役は妻です。夫を盲目的に愛したいが、女子高生の出現によりその愛が揺らいでいく様子を熱演しています。

しかし、監禁された女子高生がこれまでの被害者達と違うということがイマイチ伝わらない。犯人の夫が今回の女子高生に入れ込んでいることはセリフでは説明されますが、言葉以上の説得力が感じられませんでした。妻が嫉妬に狂っていく様は良いのに、その動機がセリフでの説明だけなのでのめり込みにくいのです。犯罪の加担をさせるほどの夫の魅力もよくわからない。一般的にはダメな男なのに何故?ってことでしょうけど、妻にとっては逃れられない魅力を描いて欲しかった。また、女子高生と母親の関係も浅い描写しかないため終盤のシーンも盛り上がりに欠けます。

雰囲気は良いのにテーマを描ききれてないように感じた惜しい映画でした。

ここからある意味ネタバレ



脱ぐのは女子高生ではなく犯人夫婦だけ
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