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響 -HIBIKI-のゆずのレビュー・感想・評価

響 -HIBIKI-(2018年製作の映画)
3.1
まさかこんなところで終わりじゃねえよな!?と思った次の瞬間エンドロールうわーっ!「あんた実写版映画の分際でなに中途半端に話終わらせてんの?」とか言いたくなるでしょこれは。原作未読だけど。

鑑賞中、何が良かったかといえばやはり主人公・響の暴虐っぷり。見た目はいかにも文学少女で、天才的な作家性を持っている16歳なのに、口を開けば毒を吐き、バカな男たちには容赦無く鉄拳制裁というギャップがすごいイイ。少女が振るう暴力には謎の魅力がある。(魔法少女然り)そんな厄介な天才をうっかり見つけてしまった編集者・ふみちゃんの苦悩の日々も傍から見れば面白い。可愛いチワワだと思って拾ってきたらとんだ狂犬だったわけだ…。狂犬チワワの見事な飛び蹴りの後ろで、リードを離してしまった飼い主の表情をしてる北川景子がもうほんと素晴らしい。スマホを落としただけなのに…ならぬ、原稿を拾っただけなのに…である。

で、何が気に入らないかというと、それだけで終わってしまったことである。天才少女が暴れ倒してムチャしまくって飼い主もとい担当編集者が寿命を縮めまくる100分。小説ほぼ書いてない。(あっこれ、女子高生が小説家になる話なんですよ)だってもう最初のカットで原稿届いてるもんなー(笑)圧倒的な才能で誰もが感動する小説を書いてしまった後の話だもんなー。文芸部での作品もササッと書いてチラッですよ。読んだ人が「すごい…」って言ってるだけ。どんな作風かも、その一文すら明かされない。もちろん、漫画や映画の中で「天才が書いた小説」なんてものを再現できるならとっくに小説家なっとるわボケェという作り手の気持ちもわかります。ただ書いてる努力ひとつ見せないで、なんてすごい作品なの、この子は天才だわ…とか言われてもまったく響かないですわ。(響なのに…、ね♪)さらに、中傷に対して拳で返答するような短絡的な行動に走る人が、人の心を揺さぶる小説を書けるのかというのも疑問。逆に、大人を唸らせるような作品を書ける子が、「友達が悪口いわれてたら助けるのが当然でしょ?」とかガキみたいな理由つけて人を殴るんですが、これ響ほどの読書家で天才なら「こう言えば許される」ってわかってて言ってないか?(笑)絶対、確信犯っすよ…。

10/18 響 HIBIKI @MOVIX仙台
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