これは原作が最高に面白いんですよ。
響っていう天才少女が、その圧倒的な小説の才能で出版業界に大きな旋風を巻き起こすみたいな話なんですが、
とにかく型破りな主人公で、大人にもタメ語だし、暴力に暴力で返すし、空気は全く読まずズケズケ言うし。でも世の中の忖度しまくってる大人たちにとったら彼女の行動でスカッとできる部分もある
と思う。でも、この話はそんなんが醍醐味ではなくて。
響という天才に、全く手の届かない才能を見せつけられた秀才や凡人たちが、もがいたり絶望したり無の境地に入ったり奮起させられたり、そんな悲喜こもごも
を描いた作品で、その姿が無性に泣けるし応援したくなるって話だと思う。
個人的には、そのあたりの人間の業とか、むなしさ、あっけなさとか、それがこの漫画のおもしろいところ。
主人公は響じゃなくて、彼女をとりまくキャラクターたち一人ひとりだと思う。
そんなわけで、原作がめちゃくそおもしろいので映画もそれなりによかった。作者希望の平出さんの配役も大正解。あのサイボーグぶり、ぴったり。
ただ、メイン以外の配役は、もっと考えてほしかった感が否めない。間違いなく、小栗旬と柳楽優弥である必要はない。せっかく響との対比役として、リカ（アヤカウィルソン）をメインに絞ったんだから、他は潔くモブでいく決断力と、味のある無名役者を掘り出すセンスを見せて欲しかった。
脇役が悪い意味で存在感ありすぎる。
※細かい文句はネタバレコメ
それと、小道具や演出が美しすぎ。
高校の部室にカリモクのバカ高いソファがいくつもあるのも変やし（普通はパイプ椅子ちゃうのん？）、一般家庭にしては響の部屋が広すぎ、家具高そう。
全然、悪くなかったけど、エッセンス詰め込み過ぎたのかなぁ。配役と演出が作品テーマにミスマッチ。
もっと泥臭さや人間の執念みたいなの欲しかった。もうちょっとで賞に絡む傑作になり得た感あり。
