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億男のleのネタバレレビュー・内容・結末

億男(2018年製作の映画)
4.9

このレビューはネタバレを含みます

この映画の評価は、観る人のお金との関わり方やこの映画に何を求めてきたのかによって大きく変わる内容だと思います。評価が低くてもそれは人によるものなので、「お金とは何か」という質問1つで「なんだろう?」って向き合う気が少しでも起きたなら観に行ってほしいなと思います。

主人公が宝くじで3億当選→億万長者の親友に相談したらお金ごと消えてしまった…というのはこの映画の入口であって、そこから本編が始まる感じです。

借金返済の為に働き続け、妻子とも離れて暮らしてる人なので、3億あれば借金返済、そして妻子ともまた一緒に楽しく暮らせるのだと信じて疑わないのは誰しも持つ考えの一つです。お金の問題は人を変えるし、心の余裕も無くさせてしまうし、自分以外誰も信用できなくなってしまうこともあるから、お金はあるに越したことはないと思います。

ただ、本編に出てくる億万長者の人たちは、それぞれ大金を手にしたことで「お金とは何か」についてある程度結論に辿り着いてるように思えました。みんなバラバラの着地点ですが、誰のどの言葉も、億万長者じゃない私でも、気付きになることが多かったです。綺麗事を並べるのではなく、現実的に、「人間」と「価値のある紙切れ」についての結論でした。

藤原竜也さん演じる「千住」の「人類は生まれながらにして、お金を崇める宗教に入っている」という神様と紙様(紙幣)をかけたような、あの台詞が印象に残っています。人間は紙幣が存在する世界で生きる以上、生まれてから死ぬまでずっとお金が必要になります。夢や希望を持って生きていたくても、現実お金は必要です。私みたいな凡人には本当に。私はこの千住の台詞、本当にその通りだなと思いました。なので、今この時にこの映画を観れたことは運が良かったです。この先も生きていく上で、どこかできちんとお金と向き合う必要が私自身にはあったからです(個人的な事ですが)

この映画では結局「お金とは何か」について明確な答えは用意されてないと受け取りました。それは最後に九十九が言っていた「人によってお金の価値は変わる」みたいな台詞がすべてだと思います。

一番多くの大金を手に入れた九十九が、10年前と変わらずお金の正体や人がモノに価値(値段)をつけることについて追い続ける、そのキャラクターが私はいいなと、なんとなく思いました。

冒頭で書いてますが、今までお金と歩んできた人生、今お金とどう関わっているのか、理想的なのか現実的なのかなど、観る側とお金の状況などによってつまらなくもなるし、良かったともなります。

私自身は幼少からお金で人が大変な思いをするのを見てきてるのもあり、過去から今がどうであったのかなど自分自身はどうなのかを振り返る良い機会でした。

心温まる?でもない、感動の話?でもないけど、強要されることはなく、余韻が自然に私をお金と向き合わせてくれ、この一本で今日一日がすごく良い日だったと思える、私にとってはそういう作品となりました。

…藤原竜也さん演じる「千住」のシーンは、5000%藤原竜也!!って感じで台詞より藤原竜也!!すぎて記憶が所々しかないのが悔やまれます。

長文失礼しました。読んでくださってありがとうございました。
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