億男のきりんのレビュー・感想・評価

一夜にして宝くじで3億円を手にするも一夜でその3億円が消えてしまった男のお金御伽話。お金を失った男が色々な人と出会いお金にまつわる小噺を体験していきます。お金は誰にとっても身近で最も奥深い謎めいた物だと思わされました。大小あれどお金に少しも取り憑かれてない人間は少ない筈。金の切れ目は縁の切れ目とよく言いますがその金の価値も人の秤それぞれだなと。一男と九十九の清濁合わせ飲んだモロッコ旅行も美しくて良かった。彼らにとってあの経験は一生深層で指針となる"原体験"になるのだろうと思いました。登場人物の名前に数が入ってますが、それが最後の九十九の言葉に繋がるのも落語的で面白かったです。