このレビューはネタバレを含みます
4歳のくんちゃんの成長を描く
予告を見ていてパッと感じていたのは、妹の未来ちゃんが過去に戻ってお兄ちゃんを救うドラえもんのような映画なのかと思ってた。
蓋を開けたらストーリーは完全にお兄ちゃんであるくんちゃんにスポットが当たり、反抗からくる自我の目覚めや本能的に起こる衝動からの成長、さらに家族との繋がる血筋と人と人との関係を描いたかなりディープであり、時折見せるアニメーション的なおかしな世界観に感動した。
妹の未来ちゃんがやってきてから、くんちゃんの今までの生活はガラッと変わり、今まで能動的にもらっていた愛を受け取る事が出来なくなってから、くんちゃんの世界が始まる。
「かいぶつたちのいるところ」のような精神世界に入り衝動をぶちかましたり、
物を乗ることへの血筋の繋がり(ひいおじいちゃんの血筋がそのまま受け継がれる)がくんちゃんの特別な能力として潜在的に自転車に乗れるようになったりだとか、
妹を守ることでアイデンティティが確立したりだとか、
くんちゃんの成長はすべて、あの家の庭で繰り広げられて、彼を繋げていた「かしの木」の元で彼の血が彼を動かし「誰かに教えられなくてもいつのまにか出来るようになっている」という誰しも体験がある軌跡を辿っている。
パーツパーツで拾い上げていかないと難解な映画になり得るし、今まで発表された映画を並べていくとオカシナ側面を持つ今作。
あと、子育てが出来なかった父親、いつも怒鳴ってしまう母親がいつのまにか子育てが出来、怒らなくなったという、子供も大人も結局一緒で「誰にでも始めてのことが」出来るようになるんだというメッセージ性も含んでいて最高だし素敵だと思った。
かなり挑戦的で素晴らしい良作だと自分は思っている。最高！！
