あしたか

15時17分、パリ行きのあしたかのレビュー・感想・評価

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)
4.0
[あらすじ]
パリ行きの高速列車に乗り込んだ3人のアメリカ人青年は、無差別テロに遭遇してしまう。実際の事件を元に、悲劇を防いだ3人の勇気ある行動を描く。

[見所]
●構成
⇒中学時代の3人の友情から物語は始まり、事件のカットをフラッシュバック的に挟みつつ、現在(事件)の時間軸までを過去から丁寧に描いていく特殊な構成になっている。
それ必要なの?と見る前は思うような不思議な脚本だが、終盤のテロシーンではそれら全てが伏線だったことがわかり快感に溺れた。

●事件の当事者本人が主演
⇒犯人に立ち向かい一躍英雄となった3人を、なんと当事者である彼ら自身が演じている!その他乗客役として居合わせた当人達も出演し、リアルな緊迫感が味わえる。

●硬軟自在な演出
⇒学生時代の描写、ドイツでのほんわか観光シーン等にかなりの時間を割いており、テロシーンは意外にも終盤の僅かな時間だけ。
しかし勘違いしてはいけないのがこの映画はテロとの戦いをメインに据えた作品ではなく、"主人公3人の内面や良心"を描いた物語であるということ。
日常との落差を描くことで彼らの心の美しさというものが浮き彫りになっていると感じた。
それでもテロシーンはかなりの緊張感を味わえる演出になっているので注目したい。

●実際の映像を使ったエンディング
⇒仏大統領のスピーチやパレードのシーンで映画から現実へのシフトが行われるわけだが、これが実に感動的。最後に実際の映像を持ってくるノンフィクションものの映画は多々あるが、この映画に至っては格が違う。なにせ本人達が最初から最後まで演じているのだから!感動もひとしおである。


前述の通り、テロとの戦いはメインではない。これは間違いなくいい作品なのだがそれ程評価が高くない理由として、そういった期待と実態との齟齬にあると思われる。
言い換えれば期待するポイントさえ間違えなければ良作として楽しめると思う。個人的には推せる作品だった
あしたか

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