たむ

眠狂四郎 女妖剣のたむのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 女妖剣(1964年製作の映画)
3.5
狂四郎出生の秘密が明かされる、シリーズ最大のヒットとなったシリーズ第四作です。
シリーズものとしてのお約束や共通性などがある程度確立している中で、本作では虚無の主人公眠狂四郎が過去と向き合います。
転びバテレンや隠れキリシタンなど、キリスト教との関係も出てきますが、その流れでまさに呪いの子供としての狂四郎が誕生していたのです。
ホラー映画のような誕生秘話ですが、本作から完全にエログロを強調した映画にもなっています。
目が飛ぶ、腕が飛ぶな残酷描写に、色狂いの誘惑やら、転びバテレンやら、欲と業の深さはこれまで以上。
テレビとの差別化もこのあたりから強く意識されていったのでしょう。
そして円月殺法のストロボ撮影本作からです。
ケレン味を増していくシリーズ、過激化を予感させる作品です。

本作がシリーズ最高のヒット作というのは、狂四郎の秘密や面白さが第一ですが他にも触れておきたいのが、プログラムピクチャーの二本立て上映です。
日本映画は長い間、90分前後の映画を二本立てで上映していました。
人気シリーズなどはそこから誕生するわけですが、それらをプログラムピクチャーと呼んでいます。
大映では、眠狂四郎シリーズもプログラムピクチャーの一つです。
DVDのおまけに全作が何と同時上映していたのかも書いてあったので読んでみたら、本作は唯一『座頭市』シリーズとの二本立てでした。
『眠狂四郎女妖剣』と『座頭市血笑旅』の二本立て…。
凄い時代ですね。
たむ

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