オヂサン

エブリデイのオヂサンのネタバレレビュー・内容・結末

エブリデイ(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

見方によっては、とても貴重な体験なのかもしれない。他人の身体を借りていろんな体験をする事が出来る。男にだって女にだってなれる。あくまで本人の生活の枠を超えないくらいなら普通なら出来ない事だって出来てしまう。

でも私はこの映画、胸が苦しくなった。これはしんどい。何がしんどいって、Aがひたすらしんどすぎる。自身の身体さえない魂だけの状態のまま他人の身体を毎日行き来する存在だという事がしんどすぎる。誰かにAだと認識してもらう術や定義が彼女以外にいなくなってしまったから。毎日誰かとして生きなければいけないから。誰かの生活を借りて、身体を借りて、その人になりきらなければならない。

Aの身体はあるんだらうか。両親はどうしたんだろうか。何処から、どういった状態で産まれてきたんだろうか。

彼女のためをと思った時に、彼女にとって一番素晴らしい人間を選ぶところかAが本当に彼女を愛していたんだなあと感じる。エゴが生じれば彼女を必ず縛ってしまうから、孤独にしてしまうから、世界を狭めてしまうからと自分の事よりも彼女を優先した結末にとても安心した。

そして少しの足取りを残したからこその「君は笑顔が素敵だね」というセリフ。Aの言葉なんだけど、彼らしい言葉に聞こえたところを聞けたのが良かった。
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