バートロー

1987、ある闘いの真実のバートローのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
3.8
製作者の多くが386世代ということを踏まえても、最近の韓国映画は過去の歴史的汚点を映画にしてエンタメ昇華しようという気概が凄まじく、商業的にそれが出来ない日本や政治的にそれが出来ない中国の志高い映画人は苦虫を噛み潰しているんじゃないかな。この作品もその系譜の映画だ。

実話ベース物の中でも韓国版天安門事件もとい韓国のターニングポイントとなる大事件を扱っているせいか、豪華絢爛な韓国俳優が隅々まで行き渡っており、中盤まではそれだけでも楽しめるわ、ギャグシーンも多めにあるわの大判振る舞い。そのキャストの多さと力の入れすぎのせいで映画としては間延びしてとっ散らかった部分もあるのはいただけないけど。そんな怪物達の中でも異彩を放つのがカン・ドンウォンのパート。兵役からの復帰後は無敵状態、この映画でも最重要人物をエネルギーの塊のような形で見事に演じ切った彼の今後を注目しないわけにはいかない。次回作の韓国版『ゴールデンスランバー』実写版『人狼』はどれも日本原作。是非日本でもこの手の政治闘争の作品を。