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1987、ある闘いの真実のレクのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.0
拷問致死事件から民主化闘争へと発展したその真実を描いた実話。
韓国の過去の汚点をエンタメ性を交えながらも圧倒的な熱量で鮮烈に描き出す。
人権を守るために闘うことの尊さと、権力を守るために闘う愚かさ。
この対比が正に民主化闘争の核心ではないだろうか。

個が集団へと展開していく中で、真実を明らかにしていくこと。
勿論、そこが主軸となるわけだが、そこに共にあるのは家族への想いや個の信念、そういったものが人を突き動かすのだということ。
人が動くからこそ、物事が良い方向へと動かされるということ。
これが民主化のあるべき姿だと思うんです。

この作品はソウルオリンピックを控えた僅か一年前、そしてポスターにも記載されている通り、今から僅か31年前の出来事という事実が恐ろしい。
言論の自由、人権の尊重が全く成されていない独裁国家。
軍事政権の迫害にただただ恐怖する。
重厚且つ骨太の社会派エンターテイメントは感心するばかり。

また、本作でも登場する光州事件を描いた作品「タクシー運転手」と合わせて観てもらいたい。
本作はこの作品の7年後を描いた作品です。
両作ともに殺伐とした雰囲気の中での各々の登場人物のドラマも魅力の一つ。
登場人物が多い中で無駄のない構成、とてもわかりやすく纏まっていることもこれらの作品の素晴らしい点です。
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