かっこいい退廃映画の金字塔。元祖ジェレミー・アイアンズみたいなダーク・ボガードは知性派変態のたぶん元祖。「何が正常か異常かなど誰が決める？」のへなへなせせら嗤いさえかっこいい。が、かの有名な退廃パーティーシーンでのシャーロット・ランプリングに改めてのけぞった。歌声と物腰と死んだ眼の何という退廃美！ガチ14歳な感じの少女時代、ナチのおもちゃ化された娘時代、世界的指揮者の妻時代、を同時に見せられる眩暈の中で、共に堕ちれるダークがちょっと羨ましくなる倒錯感やばい。ナチ関係映画は今もって作られ続けてるけど、元親衛隊員とユダヤ女のストックホルム症候群みたいな禁断を描いた映画なんか他にない。思えば今じゃ色んな面で撮れない映画がこの頃までは沢山あって、画面の強度みたいなのがどうも今の映画とぜんぜん違うと感じる。良識やらテクノロジーやらが映画から大事な何かを削り取っちゃったのか？それとも現代自体がこの頃の退廃美を醜く抜いちゃったのか？
