B姐さん

赤い天使のB姐さんのネタバレレビュー・内容・結末

赤い天使(1966年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

とにかく「生」と「死」と「性」の匂いが、感触が、シネスコのスクリーンから伝わってくる途轍もない映画である。そしてこれは従軍看護婦という女の視点から描いた「戦争映画」でもあるが、「メロドラマ」でもある。

特筆すべきは音だ。どんな爆撃音よりも、機銃掃射の響きよりも、バッサバッサと生きた人間の手足が無慈悲に、機械的に切断される音の生々しさ。それは否が応でも感情を断ち切る音にも聞こえる。わたしの隣に座っていたお婆ちゃんはそのシーンの時は完全にスクリーンを見ず、膝を抱えるように耳を塞いでいた。この映画には邦画の「戦争映画」特有の涙を流す余裕などない。ちゃんとありのままの地獄を見せてくれる。

ただ正直に言うと、わたしは、戦争という極限状況下での「コスプレ」シーンを見て、あまりの出来事に不覚にも泣いてしまった。「切ない」とはまったく別の次元で。大傑作。

@角川シネマ新宿 *若尾文子映画祭2016
B姐さん

B姐さん