Monsieurおむすび

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのMonsieurおむすびのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

爆音映画祭にて。
麻薬戦争を舞台にした「ボーダーライン」の続編。
踏み込むほどに終わりの無さを痛感する絶望的な混沌。それは暗闇の中を手探りで彷徨う感覚だった。

前作はE.ブラント演じるFBI捜査官を狂言回しとしながら、事実上の主人公はB.D.トロ演じるアレハンドロだったが、本作はガッツリとアレハンドロが主人公。

T.シェリダンのアレハンドロを掘り下げようという意思が窺える。

アメリカ国内での自爆テロ犯がメキシコの麻薬カルテル経由で入国した事実を受け、政府はカルテルをテロ組織と認定する方針を固めた。カルテル壊滅の為に麻薬王の娘を誘拐する作戦を任されたCIAマットは、アレハンドロを仲間に迎え入れる。。。

全編を通しての緊迫感と没入感は前作以上であり、スクリーンから一瞬足りとも目が離せない。加えてストーリーテリングが巧みになり、より人物や心情の描写に厚みが出ている。先読みどころか現在位置も定かではなかった前作に比べて、状況把握や感情移入がし易くなり、エンターテイメントとしての要素が強くなった印象。

アレハンドロを主軸に物語が進むので、自ずと彼のキャラクターが立ってくる。表層的にしか語られず謎だらけの彼の核みたいな部分を見せて貰えるのも大きな魅力だろう。
前作ではE.ブラントがいたポジションに敵である麻薬王の娘が入り、アレハンドロの複雑な心の機微を感じ取れる。
それだけにあのシーンは衝撃だった。

さて、前作からの1番の変更点は監督、音楽、撮影を担当したマエストロ達がいない事だろう。
私も鑑賞前は不安に感じていたが、結果的に杞憂に終わった。
本作は見事に「ボーダーライン」シリーズである。
焼き増しではなく、格段に重苦しさを深化させた体感型の衝撃作だ。
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