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君が君で君だのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

君が君で君だ(2018年製作の映画)
3.7
ストーカー歴10年にわたる3人が、彼女好みの坂本龍馬、尾崎豊、ブラピに成りきって生きるというキモさからも観る人を選ぶと思うけれど、余韻が爽やかな不思議な作品だった。

未レビューですが、松居大悟監督のオムニバス観て、流れる空気をつかむのがうまいなあ、と思って鑑賞。タイトルの意味が後半でガツンとくる。ガツンと来たら、これはストーカーの話ではなかったんだなと、異世界での成長譚だった。

キャストもよかった。3人のストーカー(池松壮亮、大倉孝二、満島真之介)はもちろん狂気の熱演で、中でもいちばんの狂気は池松壮亮さんの、なんのためらいもない、成りきりの狂気、沸き上がるような狂気、他の狂人たちも怯むような狂気、他の狂人は我に返るほどの狂気、だった(笑)。

向井理さんとYouの借金取り立て屋も実にそれっぽく、眉毛ない向井さん怖かったです。

ストーリーで見せるというより、非連続で変わる、人の心の内を映像化するのがうまいなあ。映像でなくとも、小説でもよさそう。舞台演劇っぽくもあった。脚本も松居大悟監督で、今まで知らなかったのが悔やまれる。才能をめちゃめちゃ感じました。

おそらくだけど、引きこもり含め、新興宗教、行き過ぎたオタ活を否定するのではなく、ガチガチに固まった閉じた世界の中でも、突き抜けた先に、<自分は自分で自分だ>を感じられ、リアル体験のできる外界へ出る時がくることを、鏡に写しているんじゃないか。

人の成長変化は非連続で、成長のきっかけはたくさんあり複雑である。因果律では説明できない。閾値を超えるまで待ってあげてと訴える複雑系ベースの成長譚とも言えたりして。


でもキモかった(笑)
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