多崎

疑惑とダンスの多崎のレビュー・感想・評価

疑惑とダンス(2018年製作の映画)
4.1
『チワワちゃん』見てから頭から離れなくなってた二宮健
この人天才じゃない?と思ってたけどやっぱり天才だった。
今回のこの作品は1時間に満たない短尺で、場面は赤いソファのある狭いスナックでの会話だけ。でもどうしてこんなに面白い!!!
「ホテル行って、セックスして」結婚直前の新郎に、新婦との過去をぽろりと漏らしたサークルの仲間、その言葉から始まる壮絶な痴話喧嘩、もう、ただひたすらそれだけ。
6人のキャラクターはそれぞれキャラたちまくりだし、それなのに、めちゃくちゃリアル。さっきと言ってること変わってるじゃん!とか、いや、さっきまでフォローしてたのに急に責めるな!?とか。あー、こういうやついるよなあって思わせるセリフまわしが完璧すぎる(キャラクターって、ただその人が発する言葉だとか雰囲気だとか声の大きさだとか仕草だとかそういうものだけじゃなくて、周りの人々がその人に対してかける言葉だとか、抱いている印象だとかそういうものによってそのキャラクターたり得ているんだなぁと思わされました)。どうしようもない水掛け論の時に感じる「言葉の通じなさ」がこれでもかってくらい生で伝わってきてああもう!!ってこっちまで叫びたくなる。怒鳴る、叫ぶ、殴る、蹴る、殴られる。そしてダンス!!!意味わかんないのに妙にすっと入ってくるわけよ。賑やかな小道具たち(シャボン玉、三角帽子、クラッカー、火のついたタバコ、エトセトラ)、最後の最後で、踊りながら泣き顔になっちゃうところとか、相変わらずヘラヘラ踊ってる小村君とか。

上映終了後のトークショーも白熱の議論が交わされてめっちゃくちゃ面白かったです。作り手の視点から見たこの映画における「演技」を再認識させられて、改めてすげえなって思いました(え、アドリブ?結末を役者に委ねるって半端ないな!)。この映画のある種実験的な側面だとかも明らかになって、そんな自由な映画づくりも、素敵!(でもやっぱりこれだけのクオリティのものが出てくるのはみなさんのセンスと偶然的な何かがあってのことなんだろうな)
とにかく二宮健監督の上映会これからも通おうと思いました。
多崎

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