おらが春

ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbowのおらが春のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

今までの思い出は決して0にはならない。


正直舐めてた。最初の30分くらい、イタリアで3年生組と会うくらいのところまではマジで舐めてた。

結論から言うと、まじでびっくりするほど最高の映画だった。泣くかと思った。

触れた通り、最初の30分は「アニメだなぁ」っていう感じのノリだし、勢いを持ってしてもご都合主義が消せてない感じがしてイマイチのれなかった。


しかし問題はその後。
鞠莉の別荘で3年生組と再開し話をするところから。
こっから突然ギアがかかった感じがした。

そっからはもう急転直下。
イタリアでのライブは最高。
理亞ちゃんの転校を止める下りも最高。
ラブライブ決勝の延長も最高。
そして6人でのライブも最高。

まじですごい。本当に最高だった。


何が最高だったのかも、拙いながらも言語化してみた。
大きく2つ。「成長」と「信頼」だ。

「成長」に関しては主にちかちゃんとルビィちゃんかな。
9人の中の3年生組がどんだけ大きな存在だったかが痛いほど伝わってきた。アニメ版でもここまであの3人が頼もしく見えたことはない。
そして「3人の穴を埋める」じゃない。
「3人がいた事を自分の中で昇華した上で更に進んでいく」決心ができたことは、本当に大きなちかちゃんの成長だったと思う。
そしてルビィちゃん。今作のMVP。
まじでお前ほんとお前。2・3年生に頼りっぱなしだったところからの脱却、理亞ちゃんの転校の阻止、ライブ前の理亞ちゃんへの言葉、6人でのライブ前のMC...
ルビィちゃんもうなんでも出来るようになって....
特に理亞ちゃん周りの立ち回りはルビィちゃん以外には絶対にできないことなんよ。本当に外さない。こんなに能動的に、熱く動けるルビィちゃん素敵すぎる。
そして理解者ポジにいてくれるダイヤ様もまじで素敵でした。


もう1つの最高ポイント。「信頼」。
これはキャラ間はもちろん、制作陣の視聴者への信頼がまじで最高だったと思う。
最初に言った通り、ご都合主義的展開はある。でも、徹底して「安易な展開」は持ってこないところに凄みを感じた。
敢えて描かないことで、逆にそれがあとからプラスに効いてくる、みたいなことがこんなあるんか....って感じだった。

例えば3年生の描き方。
今回完全に3年生組は迷いを見せずに突っ走っている。本当に頼りがいしかない姿だ。鞠莉母からの圧もがっちり跳ね返していく姿は正に最強だった。
多分普通ならここでも葛藤を書きたくなると思う。新しいステージに行く自分たち、そして残された後輩たちは大丈夫かな、心配だな、みたいな葛藤を挟みたくなると思うのだ。
でも違う。そんなことは書かない。
「好きにやったらいいのに〜」
これで終わり。軽いなおい!!笑
まじで痺れた。そりゃ序盤のライブがガタガタなわけだ、と思わせるには充分すぎるくらいだった。
3年生組の葛藤が敢えて描かれなかったことで、肝の座り具合や存在感のデカさ、逆に残されたメンバーの不安定さ、そして最後の展開の盛り上がりに繋がってる感じがする。良。

浦女行くシーンもそう。
「扉が空いてる〜」なんて絶対入れってことやん!!!でも敢えて入らない!!!
何故なら頑張った記憶も思い出も、既に心の中にあるから。
ここでわざわざ思い出を更新することなんて必要ないのだ。
仮にここで入ってたら、今作のキーワード「全部ここ(心の中)にある」がただの良い言葉になってた。敢えて描かないことで、ちかちゃんの中でこの言葉がちゃんと腹落ちしてるんだなと分かる。
(後で調べたら、最終回では涙を堪えながら学校の扉を閉めてたのが今回はあっさり閉めてて対比になってる、みたいな話を聞いて、また1人で痺れてました)

そして最後のライブ。
「私たちは見届けるよ」的なことを言ってた3年生が、サビまで行くまでに離脱するってえええ!!??っていう。
6人も、3人がいたであろうスペースを見つけるんだけど、もう動揺なんてしない。
ここにいなくても、思い出が0になることは無い....
エモだ.....激エモだ....
序盤でとんでもない存在感見せつけてくれた3年生が「もう大丈夫だろう」と敢えて最後までライブを見ないこと、気付いたメンバーが別に気にしていないこと...
もう序盤の不安定な6人じゃないってことがもうこれでもか!!!ってくらい分かるよね...(その後2番から精神世界みたいなところで9人で踊るのも含めて好き)

んで流れるようにスタッフロールに移行して、分校云々とセイントスノーのくだりをダイジェスト的に済ますのなんなん!!!???

ってかよう考えたらラブライブ決勝延長でどっちが優勝したのかもボカしてるのもええな!!!!!!

全然ボカせばいいとかとにかく削ればいいってわけじゃないけど、まじでそのポイントが天才的だったっていうのが結論です。



この話は一貫して「事実をどう咀嚼するか」の話だったと思う。
Aqoursは「浦女を守れなかった」。
Saint Snow(理亞)は「夢を叶えられなかった」。
加えて共通することとして「精神的支柱がいなくなる」。

これはもう事実だからどうしようもないんだけど、だからこそ各々の心に深く突き刺さっている事実でもある。

でも足踏みをしているだけじゃダメだ。
だから色んな人の手を借りて、試行錯誤しながら、その事実を自分たちで咀嚼して受け入れて、前に進んでいく。
ある意味ではトラウマを越える物語なのかもしれない。

乗り越えた先の感動はもう一入で、AqoursはもちろんSaint Snowのライブはまじで泣くかと思うくらいよかった。


本当にめちゃめちゃ良い映画だった。
サンシャインなんとなく大筋だけ覚えてるって人でも全然見れると思うので、たくさんの人に9人と2人の門出を見守って欲しい。
おらが春

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