しましょう

万引き家族のしましょうのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

やっぱりすごい好きだな…
是枝監督の作品は全然まだ観れてないですけど最近見た『歩いても歩いても』がかなりストライクだったのでそれで、やっぱり、です。

キャストの印象としては誰よりもまず
「安藤サクラうんま…」これは絶句もの
家庭の生々しい性の描写のためにも、あの事情聴取のやりきれなさも、ゲップの温かみも、「息子」との面談もすべて彼女でないといけない…キャスティングとその後のリライト(今回もされただろう)がガッチリ決まっていた。
池松壮亮よかった。祥太が美男オブ美男…。

今回は名前、特に呼び方がかなり分かりやすいメインのモチーフに使われてたのが印象的。つながりを観客が理解するのに、あざといけど上手く機能してたんじゃないかな。
個人的にラストの口パクより、散髪後の可愛いじゃんのシーンで、名前どっちが好き?って聞いた時に呼んでほしい名前の方を好きってゆりちゃんに言われた時の嬉しそうな顔がすきだったかな。姉妹の名前を使い分けて…っていうのはこれまた分かりやすいけどそれ抜きに本当にキャラが生きて存在するような笑顔だった。子役の存在が大きいのかな

それに関連してラストの流れ。安藤サクラの役が「母親」をやめて、それにリリーフランキーが動揺するも「息子」との最後の時間を過ごして「父親」をやめる決心をする…それ自体にその「家族をやめる」行為に、「家族としてのつながり」を見出す流れヤラれました。

犯罪を犯すリリーフランキーの姿勢と祥太は決別する意味でも呼びかけには答えない。それでも、彼ら夫婦と過ごした時間は決して無視できないものだから見えなくなってから一言あの名で呼んでみる。(ってことだったかな笑)

歩いても歩いてもは世代を繰り返し巡るような印象を受けるけど、今回は祥太の綺麗な成長物語というのがかなり違うように感じる。
そして父になるでは主人公は価値観を変えるけど最後また静かに終わる感じとも比べても何か違う気がしなくもない。子供だからか、崩壊する家族だからか、作風の変化なのか。
長谷正人さんの今回の評論を聞きたい。

あと構図について
海より〜とかまだ観てないので分からないけれど、ど正面カットがすごい珍しい?ように感じた。仕事先をやめるシーンと事情聴取シーン?か。観客に正面から向き合わせよう的な…?とにかく記憶に残ってる。
オレンジのくだりは素敵でした。

気になった点は
元夫殺したくだりがサラッと流されてたけど元夫も安藤サクラの親と一緒でDVかなんかしてたの…?ん?見逃したのか分からなかった
(もし死体を増やしたかっただけのくだりだったらダメダメお父さんという倫理レベルで無くなるから不味い気が)
あと松岡茉優の役の事情聴取、「お金のためだったの、、、?」みたいになるかな…彼女のお金が人との繋がりって倫理観は少しずつ変わっていってたもんだと思ってたし、おばあちゃんの前でオーストラリア留学とかいけしゃあしゃあと言ってる事の方がインパクト強くて、吐かせて次に進むためのシーンみたいに見えた。

松岡茉優の役の顛末、そもそもサブプロットとしての彼女の話の流れは綺麗にまとめれてるかと言うと微妙な気が。

加えてたまに直接的に感じる描写演出が多めに感じた。4番、焚き火のシーンとかの涙とおばあちゃん死亡フラグ。


でも好きなシーンいっぱいの映画でした。
しましょう

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