「人から辛いことをされた人は他人に優しく出来ない」
これを真っ向から否定する、相変わらずなぜ面白いのか上手く説明できない是枝作品。
一人で観るもんじゃ無かった…
一人じゃ咀嚼しきれなくて、今すぐにでも誰かと話し合いたい、そんな映画です。
鑑賞後は余韻に浸りたくて大して酒も飲めないのに近所のダイニングバーに来てしまう始末。
自分の立ち位置とは？
肩書きとは？
名前とは？
そもそも家族の定義って？
哀しくて辛い家族の物語。
しかし根底に確実にある愛と慈しみ。
愛は人を変えることはできるけれど、必ずしも救うことは出来ない。
ネット上じゃ反日だの犯罪を肯定してるだの何だのと論争を巻き起こしていますが、もうそんなことどうでも良くて、とにかく是枝監督の演出と役者陣の凄まじい芝居を観てくださいと。
脇役に至るまで主役級の質の高さ。
特に安藤サクラのバケモノ具合は何なんですか。
前からバケモノだと思ってましたけど、ホントにどこまで行くんだこの人は…
そりゃ確かに松岡茉優がインタビューで語った通り「同世代にあの人がいたら絶望」って言うわけですよ。
あと樹木希林も違う意味でバケモノでしたね。
ビジュアルが山姥や妖怪の類の如くで、山の中で遭遇したら失禁するレベル。
とにかく、リリー・フランキーも松岡茉優も城桧吏くんも佐々木みゆちゃんも全登場人物が生きていました。
そして映画も生きていました。
こんなに生命力に溢れてる映画に出会えて幸せです。
